平成242012)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

24−共研−2064

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

3

研究課題名

疾患のCT値を利用した鑑別診断についての研究

フリガナ

代表者氏名

イケシマ アツシ

池島 厚

ローマ字

ikeshima atsushi

所属機関

日本大学松戸歯学部

所属部局

放射線学講座

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

3千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 CTで撮影された嚢胞、腫瘍および炎症といった疾患をCT値や面積を中心に鑑別できるか判別分析を応用して検討した。症例全部を使用して分析すると、種類が多く、判別できない可能性が大きいので、例えば、歯の歯冠に関係する疾患、歯の根尖に関係する疾患、また上顎または下顎の骨体に限って発生する疾患のように細分化して、分析を施行した。
 パラメーターにはCT値や面積を、時に発生部位を正中からの距離で現した数値、また埋伏歯の歯冠に付着している場合、その付着位置を歯の歯頸部からの距離(歯根長で表現)等を用いて判別分析を施行した。
 その結果、歯根嚢胞と歯根肉芽腫との鑑別、含歯性嚢胞とエナメル上皮腫や角化嚢胞性歯原性腫瘍との鑑別、上顎骨における鼻口蓋管嚢胞、原始性嚢胞、角化嚢胞性歯原性腫瘍および術後性上顎嚢胞間の鑑別、下顎骨におけるエナメル上皮腫、角化嚢胞性歯原性腫瘍および原始性嚢胞間の鑑別、さらに、従来のエックス線フィルムでは鑑別が困難であった骨形成線維腫、骨性異形成症および腐骨間の鑑別が可能となった。
 特に、鼻口蓋管嚢胞(正判別率100%)、術後性上顎嚢胞(正判別率72.2%)、含歯性嚢胞(正判別率80.8%)、骨形成線維腫(正判別率83.3%)、骨性異形成症(正判別率71.4%)といった疾患が高確率で鑑別可能であった。
 また、正判別率の低い疾患として、角化嚢胞性歯原性腫瘍(正判別率上顎28.6%と下顎29.4%)、原始性嚢胞(正判別率6.7%)、腐骨(正判別率29.4%)等が挙げられる。
 この結果を、今後臨床において数値による鑑別に応用して行きたいと考える。また正判別率の低い疾患も続けて検討して行く方針である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

発表論文
1. 池島 厚,西野郁夫,山崎英隆,尾澤光久,山本浩嗣:含歯性嚢胞と含歯性のエナメル上皮腫との鑑別点について.歯科放射線24(4):371-380,1984
2. 池島 厚,松崎伸一,尾澤光久,山本浩嗣,鈴木 勇:歯根嚢胞と歯根肉芽腫との鑑別点.歯科放射線26(1):7-15,1986
3. A. Ikeshima:Metrical Differential Diagnosis based on Location.J. Nihon Univ. Sch. Dent. 37(1):8-17,1995
4. A. Ikeshima,Y. Tamura:Differential Diagnosis between Dentigerous Cyst and Benign Tumor with embedded Tooth.J. Oral Science 44(1):13-17,2002

学会発表
1. 池島 厚:歯根嚢胞と歯根肉芽腫との鑑別点(第4報);CT値および面積値による分析.日本歯科放射線学会第15回臨床画像大会(鹿児島),2010年9月
2. 池島 厚:含歯性のエナメル上皮腫および角化嚢胞性歯原性腫瘍と含歯性嚢胞の鑑別について;CT値,面積値および埋伏歯付着位置による分析.日本歯科放射線学会第17回臨床画像大会(大阪),2012年10月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

なし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田村 義保

統計数理研究所