平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−80

専門分類

7

研究課題名

心理的ストレスと健康に関する統計的研究

フリガナ

代表者氏名

ハヤシ フミ

林 文

ローマ字

所属機関

東洋英和女学院大学

所属部局

人間科学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

現代社会において、社会、文化、心理的要因から受ける心理的ストレスの健康影響が少なくないことが指摘されている。このような心理的ストレスの影響のダイナミックスの分析をめざすものであるが、本研究では、心理的ストレスを測定するために作成された調査票による調査結果をもとに、調査票を評価・再検討し、心理的ストレス測定の調査票を完成させる。


本年度は、ここ数年当共同研究で行ってきた、心理的ストレスを測定するための調査票の調査による評価・検討をまとめ、実用可能な調査票を作成した。ここで用いたストレス測定の調査票は、アイゼンクの性格測定と言われるもので、社会生活におけるストレス受容のありかたから性格をとらえ、ある性格がある種の病気に関連するということを長期にわたる調査で実証した経緯から、作成されたものである。
心理的ストレスと健康の関連を研究するにあたり、日本においてこの調査票が使えるかどうかがまず問題であった。問題は、翻訳文の妥当性と質問内容自体が日本人に妥当か、という点である。その両方の検討のため、いくつかの学生集団に試験的な調査を行なってきた結果、内容においてもアイゼンクの意図したような性格タイプが分類されることがわかり、翻訳の仕方によっても安定した項目が多いこともわかってきた。
しかし、実用のためには、質問文が複雑で質問数も多いことも問題であり、質問項目を減らすことを試みた。すなわち、数量化3類(パターン分類)によって全体の回答構造をつかみ、項目を減らしても構造が保たれるという条件で、また、翻訳の違いによっても構造上あまり変わらないということも考慮し、簡略型の質問票を完成させた。
この完成によってストレス受容の仕方による性格特性を測定することができれば、健康調査に組み入れ、長期的な追跡研究も可能となる。今後翻訳文についてはさらに検討をすすめながら、健康調査への実用をはかり、ストレスと健康の関連の研究に進むことをめざしている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

山岡和枝、林 文:調査票の持つ構造を保持した簡易調査票の作成 − Eisenck のパーソナリティテストの日本語翻訳版の再検討、社会心理学研究 (投稿予定)

Kazue Yamaoka, Fumi Hayashi : Extracting Question Items while Maintaining Consistency Structure of Attitude, the 4th International Facet Theory Conference, 1993.9.1 (accepted)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ストレスにかかりやすいパーソナリティのテストを翻訳した調査票である程度のデータが得られ、実用可能性、妥当性がわかってきた。本年度はさらに別のテストとの比較など分析をすすめる。また、環境要因の違いによるストレスの比較のための在米日系人調査、日本での一般調査も実施される予定であり、これらの分析をもとに、ストレスにかかりやすいパーソナリティのテストも加えて、健康状態にあたえるストレスの影響を測定するための調査票を作成する。医学(公衆衛生学)統計的分析のため、また,日系人の意識調査は統計数理研究所の日米比較研究などとの関連も深く、共同研究の必要がある。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

馬場 康維

統計数理研究所

林 知己夫

統計数理研究所

山岡 和枝

帝京大学