平成152003)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

15−共研−2034

専門分類

7

研究課題名

コウホート分析による歯科疾患調査データの国際比較

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

Nakamura Takashi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

[研究目的]
 厚生省「歯科疾患実態調査」は、昭和32年から6年ごとに実施されており、現在までの調査回数は8
回を数える。この全国調査は、齲蝕(むし歯)や歯周病をはじめとする歯科疾患のみならず、近年の80
20運動において着目される自己の歯の本数や義歯などの状況、さらには歯磨き習慣、フッ化物塗布状況
などわが国の歯科保健に関する貴重な資料を提供してくれているものである。
 本共同研究申請者らは、これまでにこの継続調査資料を利用して、ベイズ型コウホートモデルの適用に
より、日本人における齲蝕の少ない世代の存在や近年話題の齲蝕の減少、さらには歯磨き行動の年齢差な
ど歯科保健に関するいくつかの重要な研究成果を挙げてきた。
 申請者らは、最近、英国における類似の調査の存在を知り、本申請において、日英両国の歯科疾患調査
データのコウホート分析を実施することを企図した。特に、永久歯の喪失状況に焦点を当てて比較検討す
ることを主な研究目的とした。
[研究成果]
 日本の歯科疾患のデータとして、すでに、今日までに蓄積した昭和32年から平成11年までの8回分
の「歯科疾患実態調査」データベースを用いた。
 英国の歯科疾患のデータとして、1968年に England と Wales で開始された Adult Dental Health
Survey を用いた。この調査は1978年には Scotland と Northern Ireland にも拡大され、この4カ国で、
1988年までに3ないし4回実施されているのでこの調査報告書を入手し、分析可能な形式にデータを整
えた。
 これら、都合5カ国(英4、日1)のデータに対し、各国別無歯顎者(一本も歯のない者)の割合のコ
ウホート表を作成し、中村のベイズ型コウホートモデルによるコウホート分析を実施して時代・年齢・世
代別の差異の検討を試みた。
 その結果、30年間にわたる英国 Adult Dental Health Survey による無歯顎者率は、横断的観察ではこ
の間の無歯顎者減少は著しかったが、コウホート分析によると、年齢・時代両効果に比べてコウホート効果
の影響が圧倒的に大きく、抜歯による喪失が、世代を新しくするに従って改善された影響が強いと推察し
た。一方,日本の無歯顎者率は、年齢効果とコウホート効果がともに優勢であり、英各国の解析結果とは異
なっていた。
 これらの違いをもたらした要因として、各国の抜歯基準の差や抜歯に対する国民性の違い、日英各国の
歯科医療制度などについてもさらに研究を深めたい。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[学会発表]
・18th International Association of Gerontology World Congress(June 26-30,2005 Rio de Janeiro,
Brazil)にて報告の予定し準備中
本年度の研究に関連するこれまでの研究発表
[学会発表]
・那須郁夫,中村 隆,堀内俊孝,生田明敏,新保秀樹,渡邉寿子(2001)。英国における無歯顎者の
割合のコウホート分析,第50回日本口腔衛生学会総会,愛知学院大学,2001.09.30。
これまでの研究成果の一部(参考)
[論文]
・那須 郁夫,森本 基,中村 隆(1984)。下顎第1大臼歯齲蝕経験のコウホート分析?歯科疾患
実態調査報告資料による?,口腔衛生学会雑誌,34(3),240-247。
・那須 郁夫,中村 隆,森本 基(1996)。歯科疾患実態調査資料による歯磨き回数のコウホート
分析,口腔衛生学会雑誌,46(3),306-317。
・那須 郁夫,中村 隆,森本 基(1996)。永久歯現在歯のコウホート分析、歯科疾患実態調査資
料を用いて,老年歯科医学,11(2),88-99。
[学会発表]
・那須 郁夫,堀内 俊孝,渡邊 寿子,上原 佶,森本 基,中村 隆(1995)。永久歯DMF歯数のコ
ウホート分析2、ライフスタイルの世代差との関連,日本口腔衛生学会,札幌市:北海道大学学
術交流会館,1995.10.10。
・那須 郁夫,堀内 俊孝,上原 佶,森本 基,中村 隆(1996)。交互作用効果モデルによるDMF
歯数のコウホート分析,日本口腔衛生学会,岡山市:岡山衛生会館,1996.10.28。
・那須 郁夫,中村 隆,堀内 俊孝,丸山 一夫,森本 基(1997)。乳歯歯種別齲蝕のコウホート
分析2、平成5年までの歯科疾患実態調査資料を加えて,日本口腔衛生学会,鹿児島市:鹿児
島市文化センター,1997.10.31。
・那須 郁夫,中村 隆,渡邉 寿子,堀内 俊孝(1998)。喪失歯数のコウホート分析、歯科疾患実
態調査資料による,日本口腔衛生学会,仙台市:仙台国際センター,1998.10.16。
・那須 郁夫,中村 隆,渡邉 寿子,堀内 俊孝,生田 明敏,新保 秀樹(2000)。現在歯数のコウ
ホート分析、特に乳歯萌出時期の世代差について,日本口腔衛生学会,札幌市:北海道厚生年
金会館,2000.10.5。
・那須 郁夫,中村 隆(2000)。日本人現在歯数のコウホート分析、若い世代における永久歯萌出
遅延について,日本人類学会,東京:東京大学,2000.11.5。
・那須郁夫,中村 隆,堀内俊孝,生田明敏,新保秀樹,渡邉寿子(2002)。乳歯齲蝕のコウホート分
析,特に下顎第二乳臼歯について,第51回日本口腔衛生学会総会,大阪市:大阪国際会議場,
2002.09.13。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

生田 明敏

日本大学

新保 秀樹

日本大学

那須 郁夫       

日本大学

堀内 俊孝

日本大学

渡邉 寿子

日本大学