昭和601985)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

60−共研−13

専門分類

1

研究課題名

幾何学的構造・空間パターンと統計

フリガナ

代表者氏名

タネムラ マサハル

種村 正美

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

21 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

空間に散布された物体(形をもつ対象)の幾何学的形状,散布状態に関する知見を得ることはさまざまの分野で現われる重要な課題である。このような課題を種々の分野の研究者が共通の問題として捉えようという気運が最近,我が国で急速に高まりつつある。そして,この問題を包括したかたちで,形一般の学際研究をめざす「形の科学会」がことし発足している。個別物体の形状,物体集合の空間構造に関する記述・モデル化・推論には統計的な観点が不可欠である。にもかかわらず,そのための手段・手法はまだ完備されていない。そのため,ここには統計学の側のなすべき課題が数多くあるといえる。この研究会では,昨年度開催されたシンポジウムの枠をさらに広げ,かつ中心テーマを絞って,研究者が個々の分野における問題点を出し合い,互いに討論し合う場を設けることによって,問題解決の糸口を見つけて行きたい。


個別物体の形状,物体集合の空間構造に関する記述・モデル化・推論には統計的な観点が不可欠である。にもかかわらず,そのための手段・手法はまだ完備されていない。それゆえ,ここには統計学の側からのなすべき課題が数多く残されていると言える。この研究会では,昨年度開催されたシンポジウムの枠をさらに広げ,かつ中心テーマを絞って,研究者が個々の分野における問題点を出し合い互いに討論し合う場を設けて,問題解決の糸口を見つけることを目指した。
研究会の期間中,延べ60名の参加者があり,各講演に対して熱心な討論がなされた。小川は「形の科学と統計」の演題で,量の統計では扱えない質の統計とも言うべき手法の充実を説いた。松下はフラクタル構造とそのモデル化を実験的事実との関連でレビューし,尾形は大地震に見られる減衰パターンが長記憶性から来ることを指摘した。高木は渦の分布を表現する種々のパラメータの間の相関を調べた。北原・岩城はトポロジカルな乱れのある系に進入する電子の振舞いについて興味ある結果を示し,樋口は粒子による振盪と充填の実験について自らの研究に基づいて解説した。本多はある種の細胞に見られるモザイク状パターンに簡単な幾何学的モデルがよくあてはまることを指摘し,有田は甲状腺腫瘍に現れる濾胞腔の形状を分類して形態学的さ差異を求めることを目指した。上野は花粉に見られる形態の解析と機能について論じた。鳥脇はコンピュータによる画像の認識と形状特徴の把握の最近の動向を豊富なグラフィックスと共に紹介し,種村は剛体球系の空間構造を断面から推定しようとするときに現れる問題点を議論した。間瀬は分配関数の対数の展開式に対する漸近的評価について議論し,併せて数理形態学の最近の動きについても述べた。伊藤は230個の結晶群において観測される現実物質の分布を簡単な確率模型で再現できることを示した。堀はランダムなVoronoi分割の最適化について,昨年の発表以降の改良点を含めて論じた。全体として,一つにまとまるような議論には到らなかったが,個別分野の間題が統計学的観点から整理する方向性が改めて認識されたと思われる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

有田 清三郎

関西医科大学

伊藤 栄明

統計数理研究所

上野 実朗

常葉学園大学

大島 敏男

姫路工業大学

尾形 良彦

統計数理研究所

小川 泰

筑波大学

北原 和夫

東京工業大学

坂元 宗和

東京大学

高木 隆司

東京農工大学

田村 義保

統計数理研究所

鳥脇 純一郎

名古屋大学

長坂 建二

放送大学

長谷川 政美

統計数理研究所

樋口 伊佐夫

帝京技術科学大学

堀 素夫

東京工業大学

本多 久夫

兵庫大学

間瀬 茂

東京工業大学

松下 貢

中央大学

山科 健一郎

東京大学

渡辺 龍三

東北大学