平成182006)年度 若手短期集中型研究実施報告書

 

課題番号

18−共研−5005

専門分類

9

研究課題名

植食性昆虫に対する天敵の捕食率の時空間モデリング

フリガナ

代表者氏名

ムラカミ マサシ

村上 正志

ローマ字

MURAKAMI Masashi

所属機関

北海道大学

所属部局

北方生物圏フィールド科学センター

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

140千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

捕食者‐被食者の関係は自然界でもっともよくみられる生物間相互作用の1つであり、強い自然選択圧として個々の生物へ作用することによって、現在の生物多様性を形成してきた主要な動因の1つであると考えられている。同時に、この生物間相互作用は農業分野における生物防除や林業分野における病害虫大発生の予測などの応用的問題とも深く関わっており、捕食率がどのように決まるかを野外で解明することは、生態学的にも社会的にも大きな意義を持つと考えられる。
 捕食者‐被食者相互作用に関する室内実験研究から、捕食率が被食者の密度に依存して決まる密度依存性などの基本的な性質が明らかになってきたが、その一方で現実の野外データは捕食率を単純な密度依存性で説明できないものが多い。これは野外の生息場所がパッチ状に存在する中で、捕食者の分散や探索行動が捕食率の空間的な変動をもたらし、また捕食者の繁殖の履歴が捕食率の時間的な変動をもたらしているためであると考えられる。これらの時間と空間の効果を推定するためには、従来の時系列解析と空間統計学を拡張した時空間モデリングの手法を開発する必要がある。さらに、野外調査の技術的な制約から生じる欠測データや捕食以外の競争や共生などの生物間相互作用を統計学的に考慮する拡張も必要になると考えられる。
 本研究では、樹木の葉を食害する鱗翅目昆虫とその捕食者である寄生蜂を対象に、捕食率の時空間ダイナミクスをモデリングすることによって、時空間スケールの効果が捕食率へ及ぼす影響を解明することを目的した。
 この目的を達成するため、詳細な種同定作業及び既存データの整理を行い、2007年1月に苫小牧にて、続けて2月には統数研で、そのデータ解析並びに既存理論の勉強会を行った。結果の中で、高度なデータ解析を施す以前の段階の生態的知見を3月の生態学会で発表した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学術論文
Hirao, T. & Murakami, M. (in press) Quantitative food webs of lepidopteran leafminers and their parasitoids in a Japanese deciduous forest. Ecological Research.

学会発表
日本生態学会54回大会
平尾聡秀・村上正志「植食者‐捕食寄生者系の群集形成に影響を及ぼす要因」

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

相川 真一

森林総合研究所

河原崎 里子

情報・システム研究機構

島谷 健一郎

統計数理研究所

平尾 聡秀

北海道大学