平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−112

専門分類

8

研究課題名

交通現象における旅行者行動の統計的分析方法の開発

フリガナ

代表者氏名

ヤマシタ サトシ

山下 智志

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計科学情報センター

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

公共事業における交通需要予測の重要性が増大している。そのため非集計LOGITモデルをはじめ多くの統計モデルがこれまで開発されてきたが、その予測精度は依然十分なものではない。本共同研究は交通現象の予測精度向上を目的とし、非集計LOGITモデルと、ランダム効用理論、共分散構造解析、シュッタケルベルグ均衡理論等の統計的もしくは経済的諸理論との整合性を検討する。


交通機関の需要予測を行う際、所要時間の不確実性が需要量に影響を与える事実は、従来から指摘されてきた。
本研究参加者はこれまで所要時間の不確実性を需要予測モデルに挿入する方法論をこれまで詳しく研究している。
とくに本年度行った研究の特徴は、旅行者の内面的な判断や主観に注目し、旅行者が合理的な予測を行うとは限らないという前提にたった予測方法を開発した。
昨年度より継続的に探求している旅行者の主観的所要時間分布を統計的に推定する方法を改良しし、合理的期待形成を仮定しないモデルを交通需要量の予測に利用した。
その結果、客観的な所要時間分布を前提としたモデルに比較して、主観的所要時間分布を前提としたモデルは、推計精度が高く、安定的であることが判明した。
また、旅行者の主観は、現実の所要時間分布より、リスクを過小評価する傾向にあることがわかり、この結果を利用したモデルは、従来のモデルに比較して、かなりよい推定精度を持つことを明らかにした。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Satoshi Yamashita, Katsuhiko Kuroda, Airport Access Behavior of Travelers under Risk of Delay,Journal of the Eastern Asia Society for Transportation Studies,Vol.2,No.1,1997.10
Short-Term Prediction of Traffic Demand, Journal of the Eastern Asia Society for Transportation Studies,Vol.2, No.4,1977.10


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

当研究グループは上記目的達成のため、継続的にアンケート調査、室内仮想実験、研究集会、学会発表等を行っている。平成9年度については、旅行者の所要時間に関する認知過程および交通機関選択における意識構造解析を行う予定である。具体的には特定事業の評価については、NM効用関数やLISRELモデルと非集計LOGITモデルの融合を検討し、推計精度や内生パラメータの推計に調査結果を利用する。国土計画の評価についてはシュタッケルベルグ的アプローチによるモデリングを検討する。研究成果については土木学会論文集、アジア交通問題研究会(EASTS)にて発表を行う予定である。この研究には統計的技術と交通分野の知識の両方が不可欠であるだけでなく、調査理論、心理学的アプローチ、最適化等の幅広い数理的知識を必要とし、統計数理研究所共同研究として相応しいテーマであると考えられる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

黒田 勝彦

神戸大学

佐々木 邦明

名古屋大学

森川 高行

名古屋大学

Yang Sung

神戸大学大学院