平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−2

専門分類

1

研究課題名

外的基準を持たない多次元データに対する曲線当てはめについて

フリガナ

代表者氏名

ミズタ マサヒロ

水田 正弘

ローマ字

所属機関

北海道大学

所属部局

大学院工学研究科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

各変量が説明変量と目的変量に分けることが可能な場合には、回帰分析や多変量回帰分析法によりデータに曲線を当てはめ、データの有する構造を記述・解析することができる。
しかし、外的基準を持たないデータに対する曲線当てはめについては、それほど研究がなされていない。そこで、この種のデータに対する解析法の開発を目的とする。


外的基準を持たないデータ(説明変量や目的変量の区分が明確でないデータ)の解析法として、曲線当てはめを中心に研究を進めた。
データの線形な構造を検出するには主成分分析や因子分析などが有効であるが、これらの手法は非線形な構造の解析には十分な成果を期待することができない。そこで、外的基準を持たないデータに対して(非線形な)曲線を当てはめることにより、そのデータ構造を解析することに着目した。多次元空間における曲線の記述方法としては陽関数による方法、陰関数による方法、媒介変数による方法がある。それぞれに対応した曲線当てはめ法が考案されているが、今回は、媒介変数表現による曲線をデータに当てはめる手法であるPrincipal Curvesを検討した。Principal Curvesを利用する際に問題となる、(1)計算時間、(2)バイアス、(3)曲線の端点の処理、について考察した。
また、実際的な見地からPrincipal Curvesを質的データの解析に利用するための方法について検討した。質的データのパターン分析法として広く利用されている数量化3類において、データに1次元構造がある場合には、個体または特性の散布図が多次元空間内の曲線に存在することが示されている。そこでPrincipal Curvesを数量化3類による布置に適用することにより、データに有する1次元構造を検出する方法を提案した。この成果は、統計数理に論文として報告することができた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

水田正弘・馬場康維,Principal Curvesと数量化3類を用いた質的データの1次元構造の抽出,統計数理,第41巻・第1号,1993年9月

水田正弘,多次元データに対する曲線および曲面当てはめ、第7回日本計算機統計学会大会,1993年5月13日
Baba Y., New approaches based on ranking in sensory evaluation, IFCS-93, 2 Sep.1993

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

多変量データが有する構造には多様な非線形構造が考えられるが、本研究では、曲線や曲面の近くに分布していると仮定できる構造を有するデータを中心に扱う。特に、principal curvesの概念に基づいた曲線の当てはめおよび、その拡張である曲面当てはめを利用して、複雑な構造を有するデータの解析法を検討する。
統数研の馬場助教授は従来から角度データの解析についての研究成果があり、その基礎のもとに種々のデータ解析法の研究・開発を行ってきた。また北海道大学の水田助教授は曲面的構造を解析する方法を研究・改良している。そこで両者の共同研究によって非線形構造を統一的に解析するための基礎理論の構築を目指すことができる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

馬場 康維

統計数理研究所

南 弘征

小樽商科大学