平成192007)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

19−共研−4201

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

2

研究課題名

金融市場におけるランダム性と確率的予測

重点テーマ

統計科学における乱数

フリガナ

代表者氏名

タナカ ミエコ

田中 美栄子

ローマ字

Mieko Tanaka-Yamawaki(執筆名)

所属機関

鳥取大学

所属部局

工学部知能情報工学科

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

140千円

研究参加者数

4 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

目的:
金融価格は極度にランダム性の高いものであるが、その中にある種の規則性が隠されていることは世に氾濫するデイ・トレーダーや投資会社が短期的にせよ利益を出していることからも窺い知れる。ここ数年来、高頻度金融価格時系列(tick価格)のデータを手に入れ、その性質を調べてきた。
(1)大量のデータ(人気株価であれば一株あたり一日数千ticks)を計算機で処理し、パターンを抽出する、モデルを考案する、予測を行う、既存の市場モデルとの比較を行う、等とともに、人工知能分野で発展の著しい機械学習や、統計学の新手法を取り入れてランダム性の裏に隠れた微妙なパターンの抽出と統計モデルの深化を目指す。
(2)また、高頻度金融時系列の変化率が従う統計分布は通常期待される正規分布から大きく外れた、いわゆるFat Tail分布となるが、この研究に付随してLevy乱数の良い生成器が求められる。これに関連した文献はあまり多くないが、これからのテーマとして考えて行く予定である。
(3)更に、確率的モデルのシミュレーションには良い乱数発生器が必要であるが、これまではコンパイラに組み込まれているrand関数を用いて来ている。これは線型合同法に基づいたもので、簡便ではあるが乱数度は低い。これ自体の改良も含めて研究テーマとして行きたい。

成果(経過):
目的の(1)の部分に関して、これまでのtick価格差の履歴に関する情報に基づく予測生成器の改良を目指して、価格の一次微分と2次微分をデータから直接読み取り、これらを履歴として予測生成を行うことで予測精度を数%向上させられるという定量的な結果を得た。また、定性的ではあるが、これらをSOM(自己組織化マップ)上に表示することで、中長期の予測応用できる見込みも得られた。成果の一部は日本物理学会年会(2008年3月)などで発表し、また、2008年9月に行われるDDAP2008やKES2008などでも発表講演を行う予定となっている。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石橋 直樹

鳥取大学

高地 賀津真

鳥取大学

田村 義保

統計数理研究所