平成202008)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

20−共研−2022

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

3

研究課題名

体力運動能力・BMIのコウホート分析

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

Nakamura, Takashi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

50千円

旅 費

130千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年,過体重・肥満や体力低下が,中高齢者だけではなく,就学期の子供にとっても無視できない問題として認識されている.これら過体重・肥満と体力運動能力には高い逆相関が認められ,体力低下は筋量の減少もしくは体重増加に比例している.過去20年間に,日本人男性の肥満割合は上昇傾向にあり,肥満の指標であるBMIが25.0以上の日本人は約2倍になり,24.9%に達している.肥満化や体力低下の要因として,食生活の欧米化・生活環境・ライフスタイルの変化,運動不足などの生活習慣の変化が指摘されてきたが,体力運動能力・BMIの加齢・時勢・世代差要因の影響は明らかにされてこなかった.
そこで本共同研究では,第1に1939年からほぼ毎年実施されてきた体力運動能力調査(文部科学省)データから,子ども・青年・成人・壮年までの一貫して測定されてきた体力・運動能力などについて,また第2に国民栄養調査データからBMI(Body Mass Index)について,コウホート分析をおこない,各々の変化の構造を解明することを目的とした.
2008年度は,50m走,ハンドボール投げ,走り幅跳び,踏み台昇降運動,背筋力,握力,運動能力テストの合計点,体力診断テストの合計点についてコウホート分析をおこない,第59回大会,日本体育学会,日本体育社会学会に於おいて学会報告をおこなった.上記6つの測定項目に関する変化の構造は,いずれも年齢効果が支配的であるが,次善以下の効果では世代効果や時代効果が選択され,種目や性別によっても様相は大きく異なっており,6つの測定項目のうち,時代効果で低下傾向を示しているのは,女性の背筋力・握力であった.これらの測定項目の結果は特定の世代によらず,女性の筋力低下が進行していることを示している.走り幅跳び,ハンドボール投げでは男女に共通して世代差要因が大きく,いずれも新しい世代ほど低まっていることが認められた.体力低下という観点から考えると,時代効果とコウホート効果に着目することが重要であり,体力低下に影響する要因が,時勢要因だけなのか,世代差要因だけなのか,両者ともなのかを見極めることが体力低下の現象の正しい理解を導くことになることを示した.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

○ 山本達三,坂口俊哉,菊池秀夫,中村隆, 日本人の体力・運動能力の変化に対するコウホート分析, 日本体育学会第59回大会号,79.(日本体育学会,早稲田大学,2008/9/10)
○ 坂口俊哉,山本達三,菊池秀夫,中村隆,日本人の体格の推移に対するコウホート分析〜BMIに着目して〜, 子どもと発育発達, Vol.5, No.4, 234-235, 2008.
○ 山本達三,坂口俊哉,菊池秀夫,中村隆, 日本人の体力・運動能力の変化に対するコウホート分析,日本体育学会第59回大会,体育社会学専門分科会発表論文集, 36-41, 2008.
○ 山本達三,坂口俊哉,菊池秀夫,中村隆,体力・運動能力の変化に対する年齢・時代・コウホート効果の分離〜反復横飛びに着目して〜, 子どもと発育発達, Vol.5, No.4, 232-233, 2008.
○ 坂口俊哉,山本達三,菊池秀夫,中村隆,日本人のBMIの推移に対する年齢・時代・コウホート効果の分離, 日本体育学会第58回大会号, 250. (日本体育学会, 神戸市:神戸大学六甲台キャンパス, 2007/9/7)
○ 山本達三,坂口俊哉,菊池秀夫,中村隆, 日本人の体力・運動能力の変化に対する年齢・時代・コウホート効果の分離, 日本体育学会第58回大会号, 250. (日本体育学会, 神戸市:神戸大学六甲台キャンパス, 2007/9/7)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

菊池 秀夫

中京大学

坂口 俊哉

中京大学

山本 達三

愛知学泉大学