平成17（2005）年度　一般研究１実施報告書

課題番号	17−共研−1008	専門分類	5
研究課題名	確率モデルによる生態系パターンの研究
フリガナ 代表者氏名	モリタ　サトル 守田　智	ローマ字	Morita Satoru
所属機関	静岡大学
所属部局	工学部
職　　名	助手
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研究目的と成果（経過）の概要

研究目的：
研究目的は、生物進化や生態系のパターン形成の理論的研究である。本研究は、数理的および解析的な手法を用いて生物進化および生態学の絶滅問題や適応問題を研究する。モデリングと格子上のシミュレーションによって生態系の進化と安定性を研究する。また撹乱実験をコンピュータ上で実行し、生物間相互作用を理論的に研究することである。生物進化では、とくに集団選択（これまで否定されてきた）の考えを個体選択の立場から説明したい。

成果・経過
格子モデルにおける生態シミュレーションを線形確率過程で近似・解析を行った。この方法は相互作用が平均場的な場合には精度の高い近似となる。従来のシミュレーションでは格子として用いられるものとして正方格子などの対称性の高いものが用いられるが、最近多くのシステムで相互作用のネットワークは非一様で複雑なものであることが指摘されてきている。この現実を踏まえ新たなモデルとして空間上の非一様ネットワークモデルを考案し解析を行っている。ネットワークの特徴と埋め込まれた次元の間の関係が明らかになった。このような複雑なネットワーク上の生態ダイナミクスのシミュレーションに関するプレリミナリーな結果を研究会で報告しているが、論文は作成中である。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

論文発表：
1. Satoru Morita, Yu Itoh, Kei-ichi Tainaka,
``Frequency of Stochastic Oscillations in interacting population models''
Journal of the Physical society of Japan 74 (2005) 819-822
2. Satoru Morita, Kei-ichi Tainaka,
``Undamped oscillations in prey-predator models''
Population Ecology 48 (2005) 99-105
3. Satoru Morita,
``Crossovers in scale-free networks on geographical space''
Physical Review E 73 (2006) 035104R

学会発表：
1. Satoru Morita,
``SCALE-FREE NETWORK WITH GEOMETIRCAL STRUCTURES''
50th NIBB Conference ``Structure and Dynamics of Complex Biological Networks'',
Kyoto, Japan (2005)
2. Satoru Morita,
``Scale-free network with geometrical structures''
International Workshop on Complexity and Nonextensivity, Kyoto, Japan (2005)
3. 守田 智
「幾何学的な構造を持つネットワークの性質」
ネットワーク生態学研究会 第1回サマースクール, 2005年8月
4. 守田 智
「複雑ネットワークの幾何学的構造」
第１５回数理生物学シンポジウム, 横浜国大, 2005年9月
5. 守田 智
「仮想空間に埋め込んだ複雑ネットワークの構造特性」
第２回生物数学の理論とその応用, 京都大数理解析研,　2005年11月
6. 守田 智
``Spatial Enhancement of Cooperation in Snowdrift Game''
京都ゲーム理論ワークショップ, 京都, 2006年3月
7. 守田 智
「複雑ネットワークに関する話題」
第１回非線形科学の次代, 福井, 2006年3月
8. 守田 智
「空間に埋め込まれた複雑ネットワークの解析」
日本物理学会 第61回年次大会, 愛媛大・松山大, 2006年3月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
伊藤　栄明	統計数理研究所
齋藤　保久	静岡大学