平成132001)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

13−共研−2017

専門分類

2

研究課題名

次世代統計システムJaspの開発

フリガナ

代表者氏名

コバヤシ イクノリ

小林 郁典

ローマ字

Kobayashi Ikunori

所属機関

徳島文理大学

所属部局

工学部

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

共同利用研究申請書の研究概要・目的、及び研究計画の項目に記載した事項について研究を遂行するこ
とができた。特に開発システム(Jasp)の安定性を増すことができたので、統計科学に新しいコンピュ
ータ技術の成果を取り入れる実験をいくつか試みることができた。
 我々の研究の目的は、これまで研究されてきた計算機統計学の成果と近年のコンピュータ技術の成
果を導入した新しいタイプの統計システムを開発し、計算機統計学の実践のためのより優れた環境を
提供することである。
 近年のコンピュータの技術の発展は、我々に新しい可能性を提供した。ハードウェアの発達により、
一度に扱えるデータ量が増し、より複雑な式の解を求めることができるようになった。また、ネット
ワークの発達、とりわけインターネットの爆発的な普及により、必要な情報を手軽に入手することが
できるようになった。
 このようなコンピュータの高速化とコンピュータネットワークの広がりの中で、統計システムもこれ
に準じた変化が求められるようになっている。また、これに関する統計システムの新たな可能性を探求
した拡張や研究が世界的に行われている。
 そこで我々は、従来の統計システムにはない操作性と機能を持ったネットワーク対応型の汎用統計
システムJasp(Java based Statistical Processor)を開発することにした。Jaspの特徴は、(1)ワープロ
のようなやさしい操作、(2)ネットワーク上のマシンに処理を分散させる機能、(3)機能拡張のための専
用言語、(4)プログラム資産(TIMSAC等)の活用機能、などである。開発にはJava言語を用いる。
また、開発したシステムは無料で公開し、データ解析の普及に役立てる。
 平成13年度の研究では、次の3つの項目
(1)基盤部分(プラットフォーム)の整備・拡張
(2)データ解析のための機能の追加
(3)グラフ機能の拡張
を掲げ、これらについて重点的に活動を進めてきた。
 (1)については、開発システムに存在していたいくつかのバグを取り除く作業を進めながら、システ
ムが持つプログラミング言語機能の強化を図った。特に、汎用的な統計システムが持つプログラミン
グ機能がどのようなものなのかを調査し、これらとの比較を行いながら、それらの利点や成果をJasp
のプログラミング言語として実装を進めた。
 (2)については、当初、データの視覚化のためのライブラリSIVONやデータマイニングのためのライ
ブラリWekaを組み込む予定であった。JaspにSIVONを組み込む計画は、作業の初期段階でJasp側
とSIVON側双方に技術的な問題が明らかになったため、いくつかのSIVON(途中でDavisという名
前に変更された)の機能をテストとしてJasp上で実装した程度に留まった。しかしながら、この過程
においてJaspのグラフィカル・ユーザ・インタフェースの検討や統計解析システムが持つべき拡張性
の議論ができたことは大きな成果であった。Wekaの組込みについてはWekaの技術的な調査を終えた
段階である。これらに関する開発は今後の課題として位置づけている。
 (3)については、数理システムと統計数理研究所の共同で開発が進められていたjxsplotというグラフ
描画ライブラリをJaspに組み込むつもりであった。Jaspの開発チームもjxsplotの設計に協力してき
たが、jxsplotの開発が予定より遅れたため、具体的にJaspに組み込ませるまではたどり着かなかった。
この作業は、今後の課題である。
 これらの成果は、「当該研究に関する情報源」の欄に記載している。また、開発途中であるがJasp
をWeb上で公開している。URLはhttp://jasp.ism.ac.jpである。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1)藤原丈史,中野純司,山本由和,小林郁典(2001)
Java言語による統計解析システムJasp,統計数理,49(2),pp.333-343
2)小林郁典,中野順司,渡邉勝正(2001)
拡張したオブジェクトによる重回帰分析支援システム,計算機統計学,14(2)
3)藤原丈史,中野純司,山本由和,小林郁典(2001)
An implementation of a statistical language based on Java,Journal of the Japanese Society
of Computational Statistics,14(1)
4)山本由和,中野純司,藤原丈史,小林郁典(2001)
Implementing distributed computing abilities of a statistical system,The 53rd Session of
the International Statistical Institute,Contributed Papers Book 3,pp.203-204
5)小林郁典,中野純司,山本由和,藤原丈史(2001)
Extensibilities of a Java based statistical system,International Conference on New Trends
in Computational Statistics with Biomedical Applications,Proceedings pp.109-115

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

宋 光烈

成均館大学大学院

中野 純司

統計数理研究所

許 文烈

成均館大学

藤原 丈史

総合研究大学院大学

山本 由和

徳島文理大学