平成5（1993）年度　共同研究Ａ実施報告書

 

課題番号

5−共研−25

専門分類

3

研究課題名

臨床における経時データの解析

フリガナ

代表者氏名

ヤフネ　アキフミ

矢船　明史

ローマ字

所属機関

北里研究所バイオイアトリックセンター

所属部局

臨床薬理部

職　　名

医師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅　費

0千円

研究参加者数

3　人

 

 

 

研究目的と成果（経過）の概要

臨床の分野から得られる経時データの解析は、疾患の治療において極めて重要なものである。臨床データには様々なタイプのものがあり、また個体差などにより複雑な形をとるデータが得られる場合が多い。このような複雑な多次元臨床データに対し、本研究では事前情報を有効に利用することにより、解析を行う。


本年度の研究では、主として薬物動態学的データについて、(1)ベイズ的な薬物動態学的モデルに基づく個々の血中薬物濃度推移の予測および(2)薬物濃度推移を予測するための最適な測定点の選択という薬物治療上きわめて重要な２点を中心に解析を実施した。実際に用いたモデルは薬物動態学的パラメータについて非線形なモデルであるため、モンテカルロ法を中心とした数値的なアプローチを必要とした。得られた解析結果は臨床的にも納得できるものであり、本研究で用いたアプローチの妥当性を示唆するものであった。
次年度以降の研究では、本年度の研究結果をさらに数多くの実際の薬物動態学的データに適用するとともに、現在のモデルでは十分に血中濃度推移が表現できない徐放剤に対するモデルの研究を試みる予定である。また前年度の研究において解析を行った食堂癌のリンパ節転移データを含め、薬物動態以外の様々な臨床データについてもベイズ的なアプローチを試みる予定である。

 

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

１．Akifumi Yafune,Toshiki Matsubata and Makio Ishiguro, Bayesian analysis of lymphatic spreading patterns in cancer of the thoracic esophagus, Annals of the Institute of Statistical Mathematics,45,September 1993.
２．矢船明史，漢方処方長期投与における経時的測定データの解析，日本東洋医学雑誌,43,1993年４月
３．矢船明史，肩の痛みの原因鑑別に対する赤池情報量規準を用いた統計的アプローチ −ＣＡＴＤＡＰによる解析−, 統計数理（印刷中）
４．Akifumi Yafune,Selection of the optimum measurement point to predict plasma concentrations of a drug - Application to a Kampo formulation -,Japanese Journal of Oriental Medicine(to appear).
５．Akifumi Yafune and Jong-Chol Cyong, Statistical approach with a two dimensional power-normal transformation model to the circadian rhythm of blood pressure - Application to a clinical phase-one study of a Kampo formulation -,Japanese Journal of Oriental Medicine(to appear).

１．Akifumi Yafune, Bayesian analysis of lymphatic spreading patterns in cancer of the thoracic esophagus,International Symposium on Exploration of Informational Aspects of Bayesian Statistics,December 19-23,1993.
２．Makio Ishiguro and Akifumi Yafune, A smooth estimation of the prior distribution in a Bayesian model- A use of EIC(an Extended Information Criterion)-,International Symposium on Exploration of Informational Aspects of Bayesian Statistics,December 19-23,1993.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

１．研究内容：臨床から得られる多次元の経時データに対し、事前情報を事前分布としてモデルに導入することにより、情報量基準によるモデル選択の立場からの解析法を研究する。
２．共同研究の必要性：臨床データ解析においては、モデルに導入する事前分布が極めて複雑になる場合が多く、大型コンピュータの使用が必要であり、また、統計数理研究所における類似研究に関する数多くの資料を参照することが、より有効な解析を行うために、不可欠であると考えられるため。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒　真木夫

統計数理研究所

松原　敏樹

癌研究会附属病院