平成222010)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

22−共研−16

分野分類

統計数理研究所内分野分類

b

主要研究分野分類

2

研究課題名

複雑ネットワークの制御に関するゲーム理論的アプローチのための大規模シミュレーション

フリガナ

代表者氏名

イマイ テツオ

今井 哲郎

ローマ字

IMAI Tetsuo

所属機関

山形大学

所属部局

大学院理工学研究科

職  名

博士後期課程2年

 

 

研究目的と成果の概要

我々はすでに,ASトポロジ形成をゲーム理論におけるネットワーク形成ゲームをベースにモデル化した.またノード数100の小規模なシミュレーションにより,我々のモデルが実際の現在のASトポロジと同じ特性を持ちうることを示し,ASトポロジが今後形成しうるトポロジの特性を明らかにしている.現在のインターネットにおけるASの数は,2004年の時点ですでに2万弱あり,現在も増加し続けている.我々が提案したASトポロジ形成のモデルの妥当性を検証し,モデルをさらに精緻なものに発展させていくためには,現在のASの数に匹敵する規模のシミュレーションを行うことが必要である.
我々が提案したモデルは収束する解を得るためのコンピュータシミュレーションにおける計算量が大きい.そのため,実際のAS数に相当する数をノード数としたシミュレーションを,通常のPC上でシミュレーションプログラムとして実行することはきわめて困難である.
我々がこのたび貴研究所に共同利用登録をさせていただいた目的は,貴研究所の計算資源を利用してより大規模なシミュレーションを実行することで,本モデルの大規模なシミュレーションの実行,その結果の評価と,それによるモデルの精緻化へのフィードバックを行うことであった.
我々は今年度の活動において,これまで行っていた小規模なシミュレーションに利用していたシミュレーションプログラムを,貴研究所の計算資源を活用した大規模シミュレーションへ向けたものに変換するための調査を行い,またそのための具体的な検討を行った.その結果,このシミュレーションプログラムの変換には,MPIを活用した並列化の技術の習得とその利用が必要であることがわかり,当初想定していた以上の工数が必要であったため,今年度はMPI技術を利用したシミュレーションプログラムの並列化作業に取り組んだ.実際の大規模シミュレーションは,来年度に我々の研究課題が採択され次第,実施する予定である.