平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−40

専門分類

5

研究課題名

生態系におけるパターン形成

フリガナ

代表者氏名

タイナカ ケイイチ

泰中 啓一

ローマ字

所属機関

茨城大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

空間パターンの時間的変化の問題は、生態だけでなく、数学、物理学、その他さまざまな複雑系と呼ばれる分野で精力的に研究されている。本研究は、主として生態系における生物の空間分布のメカニズムを調べることを目的とする。


身近な問題であっても、体系があまりにも複雑であるために、これまでほとんど物理学の対象となって来なかった問題が数多く存在する。とくに空間パターンの問題は空間の点が無限の数だけあるために、複雑で手に負えないことが多い。それでも自然科学における複雑系の空間パターンの問題に対する研究は、最近では数多く生まれてきている。しかし、自然科学以外の分野、たとえば政治や社会学、経済学、さらには人類学などの分野では、まだまだ物理の研究は少ない。
本研究では、生態系などの自然科学のみならず、それ以外の社会学、文化人類学などを含む広範な分野を対象とし、複雑系における空間パターン形成の非線形解析を行ってきた。具体的には(1)生態系における生物の生存と絶滅の問題、(2)選挙におけるマスコミの役割、(3)宇宙物理における星間物質の空間構造、(4)人類学とくにオーストラリア先住民の婚姻制度、などの問題を取り扱った。
我々はコンピューター・シミュレーションと理論的解析の両面から非線形解析を行った。さまざまな系に対して化学反応モデルを考え、これを格子上で反応させてきた。とくに我々は、反応粒子にたいして位置が固定されたまま化学反応すると仮定した。研究成果は色々な雑誌に掲載された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Tainaka,Spatial pattern formation of an interstellar medium,Publ.Astoron.Soc.Jpn.Vol.45.57-64(1993).
Tainaka,Paradoxical effect in a three-candidate voter model,Phys.Lett.A176.303-306(1993).
Kanno and Tainaka,Power-law spectra in diffusion-limited reaction..,J.Phys.Soc.Jpn.62.2275-2278(1993).
Tainaka,Intrincsic uncertainty in ecological catastorophe,J.Theor.Biol.Vol.166,91-99(1994).
Tainaka and Itoh,Glass effect in a prescribed marriage system,Phys.Lett.A187.49-53(1994).
Itoh and Tainaka,Stochastic limit-cycle with power-law spectrum,Phys.Lett.A,in press.

泰中啓一、非平衡系における予測不可能性、筑波大学開学20周年記念研究会、1993年11月10日
泰中啓一、伊藤栄明、オーストラリア先住民の婚姻制度とガラス転移、重点領域研究会、1994年1月10日
泰中啓一、伊藤栄明、1/fスペクトルを持つリミットサイクル、日本物理学会、1993年10月15日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

生物の空間パターンは地理的要因や、それ以外にも捕食・共生・競合などの生物個体間の相互作用によって決定される。
本研究は主として個体間の相互作用と空間パターンの関連を調べる。研究はシミュレーションによる計算機実験と解析的方法の両方から行う。とくに統数研の乱数は性能がいいので計算のチェックの上でその乱数を使用したい。したがって計算機の利用やまた図書の利用もお願いしたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

菅野 正吉

茨城大学

種村 正美

統計数理研究所