平成202008)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

20−共研−2060

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

5

研究課題名

抵抗低減壁乱流の大規模数値シミュレータの開発

フリガナ

代表者氏名

タマノ シンジ

玉野 真司

ローマ字

Tamano Shinji

所属機関

名古屋工業大学

所属部局

大学院工学研究科 機能工学専攻 エネルギー分野

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

140千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 近年、省エネルギー化の観点から、流動摩擦の抵抗低減に関する研究が注目されてきている。有望な流動摩擦抵抗低減手法として、界面活性剤を抵抗低減添加剤として使用する方法と、壁面に微細な凹凸を施す方法とが挙げられる。これまでの実験的研究により、界面活性剤を流動中に微少量添加すると、著しい抵抗低減効果(約70%の抵抗低減率)が得られることが明らかにされている。また、壁面微細溝構造による抵抗低減効果については、流れ方向に並んだ微細な溝とリブを有する壁面において約10%の抵抗低減効果が得られることが明らかにされている。しかしながら、これらの抵抗低減メカニズムについては十分に解明されておらず、実験に対応した数値シミュレーションによるメカニズムの解明が求められている。本研究では、界面活性剤添加ならびに壁面微細溝造による抵抗低減壁乱流の大規模数値シミュレータの開発を行った。
(1)界面活性剤添加による抵抗低減壁乱流の数値シミュレーション
外部流れである乱流境界層の大規模数値シミュレーションのための数値計算コードを構築した。界面活性剤のレオロジー効果を導入するために、Oldroyd-Bモデル、Giesekusモデル、ならびにFENE-Pモデルに基づく構成方程式を使用した。レオロジー特性(伸長粘度、法線応力差)を変化させることにより、実験的研究では解明が非常に困難な抵抗低減効果とレオロジー特性との関係を明らかにした。さらに、粘弾性流体の緩和時間・遅延時間が長くなると,抵抗低減効果と乱れ強さ分布との位相差が大きくなることを明らかにした。
(2)壁面微細溝造による抵抗低減壁乱流の数値シミュレーション
 内部流れである2平板間のチャネル乱流の大規模数値シミュレーションのための数値計算コードを構築した。壁面の微細な凹凸形状を有する流れ場の解法には、Immersed Boundary Methodを用いた。これにより、複数波長の溝とリブを有する微細溝構造、ならびに流れ方向に溝とリブがジグザグに並んだ微細溝構造を有するチャネル乱流の数値シミュレーションの実行が可能となった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表:
Shinji TAMANO, Motoyuki ITOH, Shintarou Hotta, Kazuhiko YOKOTA and Youhei Morinishi, Effect of rheological properties on drag reduction in turbulent boundary layer flow, Physics of Fluids, 2009, 投稿中

玉野真司, 伊藤基之,堀田慎太郎,横田和彦, 粘弾性流体の乱流境界層抵抗低減効果に及ぼすレオロジー特性の影響, 日本機械学会論文集, B編, 第75巻, 第750号, 2009, pp.227-234.


学会発表:
安田亮太,玉野真司,伊藤基之,横田和彦,複雑壁面性状による乱流摩擦抵抗低減に関する研究,第58期日本機械学会東海支部講演会, 2009.3,pp.329-330

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 該当なし。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

土谷 隆

統計数理研究所

安田 亮太

名古屋工業大学

楊 文彬

名古屋工業大学