平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−38

専門分類

5

研究課題名

結晶の対称性のランダム生成モデル

フリガナ

代表者氏名

イトウ ヨシアキ

伊藤 栄明

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

9 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

結晶の対称性の統計分析についてデータベースICSDをもちいて研究を行なう。統計的研究の基礎となる結晶の種の定義する方法をしらべる。ノンシンモルフィックな構造は存在しやすい。等の経験的法則を説明する確率模型をつくり従来の点群についての研究を空間群にまでひろげることを目的とする。


(1)どの空間群が出現しやすいかについて統計的研究を行うには種の定義が重要である。データベースICSDを用いて、これを行い計算機により自動的に頻度が得られるようにした。2種類の結晶の間に距離を定義し、相互の距離がある値d以上はなれていれば別の種であるとする。このようにしてICSD内での順番にしたがい、種を逐次定義してゆく。すなわちn個の種がすでに定義されたとすればn+1個目の種はすでに定義されたn個の種よりd以上はなれていればn+1個目の種であると定義する。得られた種について対称性の統計的分布を点群、空間群について整理し、ランダムに群を生成するシミュレーションの結果をこれと比較した。
たとえばC2hという点群で記述される構造を、最密充填構造がある方向にゆがんだものである、ととらえるとした場合、もとの最密充填構造を推定するという問題にとりくんだ。これは結晶の対称性の統計的分布を説明する統計モデルをより具体的なものとするために必要である。(Itoh.Y. ans Matsumoto,T. (1991) Acta Cryst. A47,204-206)
(2)楕円体の最密パッキングの問題について解決した。p31m充填系について数式処理ソフトウェアREDUCEをもちいて最密充填密度をもとめることができた。もう一つの最密充填系p3について最密充填密度をもとめた。これらについて楕円の最密充填密度を与えるのは長軸と短軸が等しい場合すなわち円の場合のみであることを示した。これらの問題は数式の計算が複雑であり数十年前に進展がとまっていたが、この方法により解ける問題がおおきくひろがった。(Tanemura,M and Matsumoto,T.(1992) Z.Kristallogr. 198, 89-99)


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

M.Tanemura, T.Matsumoto:On the density of p31m pacing of ellipes, Zeitschreit fur Kristallographie graphie, 198, 89-99. 1992
Yoshiaki Itoh, Takeo Matsumoto: Random-Generation Model for Statistical Distribution of Point Groups, Acta Crystallographica, 47, 204-206,1991


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

結晶の対称性について群の表現にもとづいたランダム生成モデルについて研究を行ってきた。この研究を発展させる。ICSDよりえられたデータとモデルのシミュレーションの結果を様々な場合に比較する。Bravais格子について出現頻度を考察し従来から行ってきた点群についての研究を空間群にまですすめる準備を行ない,ICSDよりえられたデータについて様々な角度から比較を行なう。さらにこれらの結果の結晶学的な意味についての討論を行なう。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大隅 一政

高エネルギー加速器研究機構

小川 泰

筑波大学

高畑 尚之

国立遺伝学研究所

武田 弘

千葉工業大学付属研究所

種村 正美

統計数理研究所

細谷 将彦

琉球大学

松本  生

金沢大学

山本 昭二

無機材質研究所