平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−74

専門分類

7

研究課題名

競合死因に基づく寿命短縮−線量効果関係の統計的解析

フリガナ

代表者氏名

ノダ カズオ

野田 一雄

ローマ字

所属機関

明星大学

所属部局

理工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

複数個競合する死因に基づく寿命短縮の確率分布を考える場合、着目する死因による寿命の確率分布を、他の死因の影響がある見かけ上のそれを排除するために、着目する死因が単独に作用したとするimplicitなモデルを設定し、推測する必要がある。本研究では、このために、比例ハザードモデルの拡張を工夫し、補助変数との関係で寿命構造を解析することを目的とする。具体的に、補助変数(放射線線量)をもつ実験データの解析を通じて、上記目的の実現をはかる。


本年度は、放射線被曝マウスの終生飼育データ(処理群)ならびに非照射マウスの終生飼育データ(対照群)について、処理群別および部位照射群別を共変量とする、COX型回帰すなわち比例ハザードモデルを適用する解析を行い、さらに従来研究してきた競合危険モデルによる解析との比較検討を行った。
X線被曝によっていずれのマウスも複数個のがんを発生し、これらが競合してマウスの寿命短縮に影響を与えている。したがって、着目するがん=死因による寿命短縮を考える場合、競合する他の死因の影響を排除しない通常の累積分布から生存曲線を推定しても、みかけ上のものが得られる。
本研究では、他の死因が影響しないとする競合危険モデルと比例ハザードモデルを結合したモデルによって、着目する死因のみの影響による寿命短縮を推測することの可能なimplicitな推定生存曲線が得られた。
解析結果は、非照射、照射の群別に対応した寿命の有意差検定と部位別照射の群別に対応した寿命の有意差検定についてである。前者については、従来の競合危険モデルにおける有意差検定と類似の傾向が観られた。ただし、検定の感度は、今回の比例ハザードモデルによるものがよくない結果を示している。部位別照射についての有意差検定は、部位別におけるサンプルの大きさからみて妥当なものが得られている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

これまでの共同研究によって、X線被曝マウスの実験データについて、群別を補助変数とする比例ハザードモデルを競合死因(種々の発生されたがん)に基づく寿命のimplicitな確率分布族を核とするものに拡張しつつ、寿命短縮の特徴を調べてきた(これを明らかにする種々の有意義検定を工夫した)。本年度には、新にX線の線量を変えて被曝したマウスの実験データについて、X線線量を補助変数として比例ハザードモデルの拡張を研究する。これまでの研究の結果にふまえて、核となるimplicitな確率分布族には、ワイブル分布族を用いる。被曝線量とマウスのageとの関係で、寿命短縮の量、早期および晩期死亡の分布特徴などを明らかにする有意義検定を工夫することが主要な課題となる。各分野の知識・情報が必要となるために、本研究を共同研究として実施することが望まれる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

加藤 寛夫

国立水俣病研究センター

佐藤 文昭

北海道大学

清水 由起子

放射線影響研究所

鈴木 和幸

電気通信大学

三野 大来

順天堂大学

宮岡 悦良

東京理科大学

村上 征勝

統計数理研究所