平成172005)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

17−共研−1018

専門分類

8

研究課題名

生産関数の特定化に関する統計的推測

フリガナ

代表者氏名

カワサキ ヨシノリ

川崎 能典

ローマ字

Kawasaki Yoshinori

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

助手

所在地

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研究目的と成果(経過)の概要

定式化の誤りに関するノンパラメトリック型検定の発展形として、局所対立仮説に対しても
nontrivialな検出力を持つような、時系列間の因果性検定(Grangerの意味での)に関する研究を行った。
特に、非線形(定常)時系列間の因果性を捉えるノンパラメトリック回帰型の検定を考察し、因果性検
定を高次のモーメントにまで拡張した。
 時系列の因果性検定としてよく知られているのはSims検定であるが、この方法は当然共分散情報までしか
使わないので、変数間に非線形関係が存在した場合に、それを検出することは不可能である。しかし、非線
形性を主たる目的としなければ、長記憶時系列も含めてノンパラメトリック検定を構築することができるこ
とがHidalgo(2000)Econometricaによって示されている。
 本研究では、Okui and Hitomi(1999)て提案されたconditional moment testの議論を時系列に拡張した。
いまXとYとの間に因果性がないとすると、現在のX(t)を説明するのはX(t-1),…,X(t-p)(例えば)であり、
Y(t-1),…,Y(t-q)は無関係である。すなわち、Xに関する非線形自己回帰をノンパラメトリック回帰で推定
した残差はZ=(X,Y)とは直交しているはずである。従って、Zの空間での適当な基底を生成して、その基底と
ノンパラメトリック回帰残差との内積を考え、それを適切に基準化することにより検定統計量が得られる。
なお、検定の数表はモンテカルロシミュレーションによって作成する必要がある。統計量はK次までのモー
メントに関する因果性に拡張できる。ただし、1次からK次までの全てのモーメントに関するjointな仮説
であり、特定の次数のみを取り出して検定することはできない。
 シミュレーション実験の結果が示すところでは、真の構造が様々な非線形モデルであるとき、提案した検
定統計量は、Hidalgoのノンパラメトリック検定と比べると、遙かに高い検出力を持っていることがわかる。
真のモデルが線形で2変量時系列間に依存性があるときには、当然Hidalgo検定の方がよい。我々の検定は
線形であるにもかかわらずノンパラメトリック回帰を行うからである。しかし、真の構造が少しでも線形か
ら乖離すると、検定のパフォーマンスは圧倒的に提案した方法が良い。
 また、対立仮説を標本数の平方根のオーダーで帰無仮説に近づける実験を行うと、Hidalgo検定はほとん
どサイズと同程度の検出力しか示さず、事実上検出力がないことが伺える。しかし、提案するノンパラメト
リック検定ではnontrivialな検出力を持つことが確認された。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表
[1]Nishiyama,Y.*(Kyoto University),Hitomi,K.(Kyoto Institute of Technology)and Kawasaki,Y.,
A consistent nonparametric test for causality up to K-th moment,日本経済学会秋季大会,八王子
市、東京、日本,2005年9月18日.
[2]Nishiyama,Y.*(Kyoto University),Hitomi,K.(Kyoto Institute of Technology),Kawasaki,Y.and
Jeong,K.(Kyungpook National University),Consistent nonparametric tests for causality up to
K-th moment,Waseda Workshop 2006:Time Series Analysis and Its Related Topics,Waseda,
Tokyo,Japan,2006年1月24日.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小西 葉子

日本学術振興会(研究従事機関:京都大学大学院経済学研究科)

西山 慶彦

京都大学