平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−46

専門分類

5

研究課題名

複合的な弾性体のダイナミクスとその統計

フリガナ

代表者氏名

ニシモリ ヒラク

西森 拓

ローマ字

所属機関

茨城大学

所属部局

理学部

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

多数の弾性対からなる系(砂、地盤)のダイナミクスと統計的性質を明らかにする。特に地球物理的なスケールの現象(地震、地滑りなど)に対しての非線形動力学モデルを構築し、その時系列と空間パターンの特徴を抽出する。


本研究は、砂や地盤など多数の弾性体から成る系の複雑なダイナミクスとその統計的な性質を明らかにすることであった。我々は、現在までに、おもに砂の表面および内部の動力学に対して研究をすすめ、いくつかの結果をえた。
まず、砂の表面に起きる地形(風紋 砂丘)のパターン形成の過程は簡単な非線形数値模型、具体的には連結写像格子(=Coupled Map Lattce )よって再現されることを示した。特に、風紋は、その発生条件が自然の外部パラメータ(風の強さ、砂の崩れやすさなど)に非常に敏感に依存していることを示し、同時に、安定性理論による解析的説明も行った。
また、砂丘についても、その形態が外部パラメータに運依存して非常に多彩に変化することを示した。さらに、地表付近での砂の運動は、砂粒の級化、すなわち、高いところに大きい粒子が集まるという作用を引き起こすことが知られているが、簡単なセル・オートマトン模型によってそのダイナミクスを調べ、粒子間の静止摩擦力が級化作用に大きく寄与していることを示した。
次に表面以外の内部(下層)粒子の動きについて、粒子模型を立てて、計算をおこなった。その結果適当な外場(振動)を与えることでその振動数に依存して、内部粒子が対流をおこしたり、あるいは非常に乱れたばらばらな運動を行うことが分かった。これらは、地震にともなう地盤流動化現象などと関連していると考えられるが、詳細の検討は今後の研究の課題として残った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1 H.Nishimori N.Ouchi Computational Model for Sand Ripple and Sand Dune Formation. Int.J.Mod.Phys.B, 2034 Proc of 'Dynamics of Powder Systems' edited by Y-h.Taguchi H.Hayakawa S.Sasa and H.Nishimori
2 早川尚男 西森 拓 佐々真一 田口善弘 粉体の物理とパターン形成 日本物理学会誌掲載予定 1993年

西森 拓 大内 則幸 2種の粒子からなる砂のダイナミクス 日本物理学会年会 1992年9月27日
大内 則幸 西森 拓 飛砂による地形の動力学 日本物理学会年会 1993年3月31日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

砂、地盤などは多数の弾性体の集合からなる複合体といえる。これらは、外力の印加によって複雑な時間発展をする。これらの系における事象として地震、地滑りなどがあり、その複雑な時間発展は解析困難さをともなう。我々はこれらの系に対して、1)適当な非線形動力学模型を構築しその時間発展の統計的特徴の抽出を図る。2)同時に、系の全自由度のなかで各事象に最も強く関連した自由度の抽出を目指す。
それゆえ、セルオートマトン(CA)、連結写像格子(CML)など、最近発展が著しい非線形数値計算模型を改良しながら次々と実行しそれを事象と対応させることによって、各事象に最も強くかかわる自由度を抽出し得るものと考える。共同研究者は統計力学、確率過程、時系列の各専門の人間を含む。申請者相互の議論と数値実験の実行、結果の検討をつうじて効率的な統計的解析ができ得ると考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊庭 幸人

統計数理研究所

大内 則幸

東京大学大学院

笹井 理生

名古屋大学

田口 善弘

中央大学

中川 尚子

京都大学大学院

Foong See, Kit

茨城大学