平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−62

専門分類

7

研究課題名

疫学的研究における食物摂取状況の定量的把握方法に関する研究

フリガナ

代表者氏名

マツムラ ヤスヒロ

松村 康弘

ローマ字

所属機関

厚生省国立健康・栄養研究所

所属部局

成人健康・栄養部

職  名

室長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

予防医学的観点から、ライフスタイルと健康に関する疫学的研究が種々進展しており、ライフスタイルの中でも食生活の重要性が指摘されている。しかし、コホート研究において食物摂取状況を定量的に把握している研究はまれである。本研究では、特定地域における住民の食物摂取状況を定量的かつ簡便に把握し、疫学的研究に対して有用となる方法の開発及び当該方法を用いるためのコンピュータ・プログラム・システムの開発を目的とする。


近年の外食・惣菜品の利用の増加を考慮した際、食事調査に際しては、家庭食・外食を含めた料理成分表データベースの作成および各食品・料理のポーションザイズあるいはサービングサイズの標準化が必要となる。そのために、全国レベルの秤量記録法による食事調査結果から各食品・料理あたりの摂取量分布をもとに、サービング・サイズの標準化を試み、我々のフィールドとの整合性を検討した。
サービングサイズを用いた半定量食物摂取頻度調査(FFQ)から求めた栄養素摂取量の妥当性を、同一対象集団に対する秤量調査法(春夏秋冬各7日間、計28日間)結果をもとに検討した。摂取栄養素量に関しては、男女とも糖質、ビタミンA関連項目を除いて、FFQの方が秤量法に比較して過小に評価する傾向にあったが、その差はそれほど大きくなかった。
相関係数は男性では0.34〜0.69の範囲に、女性では0.15〜0.52の範囲にあった。疫学的研究における栄養素摂取量は主に分類変数として扱われ、摂取量の大小関係が保たれていれば、誤分類による関連の希薄化は生じない。そのためには、基準とする方法(本研究では秤量法)との相関係数が高いことが条件となる。
しかし、本結果では女性の方の相関係数(妥当性)が男性より低く、男性に関しても、十分に高い相関係数を示さない栄養素もあった。これらの妥当性を高めるためには、FFQにおける標準1回摂取量、FFQ用成分表の見直しや季節変動の考慮のための季節変動係数の導入等が必要と考えられた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Sasaki N, Matsumura Y, et al: An inverse relationship between serum vitamin C and blood pressure in a Japanese community. J Nutr Sci Vitaminol 44: 853-867, 1998

Matsumura, Y. et al: Transition of National Nitrition Survey in Japan - From household to individual. Third International Conference on Dietary Assessment Methods, 8 May, 1998 (Euro J Clin Nutr. 52(sup. 2): S74, 1998)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

食物摂取状況を定量的に把握する方法としては、食物秤量法、想い出し法などがあるが、これらの方法には調査者間の偏り、多大な費用、被調査者に対する多大な負担などの理由から、多人数を対象とする疫学的調査には適用できない欠点がある。したがって、多人数を対象としたコホート研究等においては、食物摂取状況を定量的に把握した調査はまれである。本研究では、簡便で、かつ定量的把握が可能な半定量食物摂取頻度調査票(SFFQ)の開発を行っている。SFFQでは、定量性をもたせるために、1回当たりの摂取量をサービング・サイズを基本として聞き取ることが行われるが、このサービング・サイズの標準化がなされていないのが現状である。平成10年度は、全国規模の食事調査から各食品・料理あたりの摂取量分布をもとに、サービング・サイズの標準化を試み、我々のフィールドとの整合性を検討する。そのためには、近年の生物統計学の知見が必要とされ、統計数理研究所との共同研究の必要性がある。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐藤 俊哉

統計数理研究所

高木 廣文

統計数理研究所