平成302018)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

30−共研−7

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

4

研究課題名

地震発生と岩石破壊のシミュレーションおよび複雑系のダイナミクスと臨界現象

フリガナ

代表者氏名

カソノ カツミ

加園 克己

ローマ字

Kasono Katsumi

所属機関

東京慈恵会医科大学

所属部局

医学部医学科

職  名

講師

 

 

研究目的と成果の概要

目的概要: [1.岩石破壊による地震の発生のようすをシミュレーションにより調べる]
破壊の強度が局所的に異なる岩石変形の力を加えたとき,その破壊の進行状態と破壊によるエネルギーの開放を計算機によるシミュレーションで調べ,地震の発生と比較する.
[2.有限温度における磁気相を、ある秩序状態から別の秩序状態へと緩和させる非平衡緩和シミュレーションを行う]
2次元強磁性ポッツ模型において,マルチグリッド法を用いて,非平衡緩和および熱平衡の秩序変数と内部エネルギーなどの計算を行う.マルチグリッド法では,系にクラスタ化を行い,クラスタ間の相互作用を考慮することによって,系統的な誤差を少なくしたモンテカルロシミュレーションを行うことができる.クラスター間の相互作用に長距離相互作用が生じ,計算の効率が著しく下がるが,この困難を回避したい.

成果概要: 1.地質を繊維状(伸び,切断がある)の格子に見立て,大きな正方格子の左右に,境界条件として剪断力を与えた.格子は破壊(大きな変形)の後,余震に相当するような小さな破壊を2程度起こすことを確かめた.
2.長距離相互作用のある系を,短距離相互作用をもつクラスタの集合に置き換えて計算する試みを行ったが,計算効率を改善できなかったので,クラスター解析の方法を基から改善することによって,困難を部分的に回避した.今後は,計算効率の向上の数値化と,系の相転移温度における物理量について,結果を確定させたい.