平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−69

専門分類

7

研究課題名

魚類の系統分類

フリガナ

代表者氏名

ハセガワ マサミ

長谷川 政美

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

魚類のなかで陸上脊椎動物(四足動物)に最も近縁なものを明らかにするために、前年度までに引き続き、核およびミトコンドリアDNAの遺伝子構造データに基づいて系統解析を行なう。また、魚類の進化速度が鳥類や哺乳類のそれに比べて遅いとの可能性についても引き続き検討する。


硬骨魚類をはじめとする硬骨脊椎動物の系統進化をミトコンドリアDNAを用いて解析するにあたって、円口類のヤツメウナギをアウトグループにすると、明らかに間違った系統樹が強く支持されることがわかった。
このことは、現存するあらゆる分子系統樹推定法を用いても成り立つ。
この異常の原因を調べるため、円口類よりも硬骨脊椎動物に近い軟骨魚類のホシザメのミトコンドリアDNAの全塩基配列を決定した。ヤツメウナギの代わりにホシザメをアウトグループに用いると、形態学的にも支持される系統樹が得られた。
このことは、ヤツメウナギの系統で何か異常な分子進化が起こっていることを示唆している。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Cao,Y., Waddell,P.J., Okada,N., and Hasegawa,M., The complete mitochondrial DNA sequence of the shark Mustelus manazo: evaluating rooting contradictions to living bony vertebrates. Mol. Biol. Evol. (投稿中)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

前年度までに引き続き、総鰭類と肺魚類のミトコンドリアDNAの遺伝子解析を実施し、ミトコンドリアにコードされている蛋白質のアミノ酸配列データを得る。得られたデータをもとに、総鰭類と肺魚類のどちらが陸上脊椎動物に近縁であるかをさまざまな置換確率モデルに基づく最尤法により総合的に評価する。魚類の進化速度については、核コードの蛋白質のアミノ酸配列データで既報のものの収集に努め、陸上脊椎動物の進化速度との比較を行う。また、核とミトコンドリアとの相違点についても引き続き検討する。分子系統樹の最尤推定に関する大規模計算を行うため、統計数理研究所での共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岡田 典弘

東京工業大学

岸野 洋久

東京大学

小島 茂明

東京大学