平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2030

専門分類

6

研究課題名

固有地震を考慮に入れた地震の規模別頻度分布

フリガナ

代表者氏名

イワタ タカキ

岩田 貴樹

ローマ字

Takaki Iwata

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測発見戦略研究センター

職  名

プロジェクト研究員(?)

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地震の規模、即ちマグニチュードに対する頻度分布は指数分布に従うことが経験的に知られている。
一方、プレート境界などでは特定の規模の地震が繰り返し起きており、それ以外の地震が従う指数分布
からとは別の分布に従っている可能性が示唆されている。この「特定の規模の地震」は「固有地震」と
呼ばれている。
 日本の紀伊半島から四国沖に掛けてのプレート境界では「東南海地震」「南海地震」と呼ばれるマグ
ニチュード8クラスの、固有地震と考えられる地震が繰り返し起きている。この地震に関しては、古文
書などを元に、過去数百年から千年に渡る歴史地震記録が残っている。このため、世界的に見て、固有
地震に関するデータ数が比較的多い地域と言える。このデータを用いて、固有地震と固有地震以外の地
震とが同じまたは別の分布に従っているのかどうか目的として、以下の解析を行った。
 「東南海地震」「南海地震」の想定震源域で起きた歴史地震記録のマグニチュード?頻度分布データ
に次のような確率分布モデルを当てはめた。
ここでΜはマグニチュードを表し、β、γ、σ、μはモデルパラメータである。これは固有地震以外
の地震が従う指数分布(第1項)と固有地震が従う正規分布(第2項)とを1-γ:γで混合した確率分
布モデルである。
 このモデルを上記のマグニチュード?頻度分布データに当てはめ、最尤法を用いて最適となるパラメ
ータを求める。その際、γ=0という拘束条件を与え「固有地震が存在しない」とした場合(モデルA)
と、拘束条件を与えず「固有地震が存在する」とした場合(モデルB)を考える。
 データ数がさほど多くはないことを考慮し、各モデルパラメータには経験的に妥当と思われる事前分
布を与え、パラメータのベイズ推定を行った。さらに、両モデルに対する周辺尤度を計算し、それを用
いたモデル比較も行った。周辺尤度の値はモデルAの方が大きかった。しかし、ベイズ比の対数値は
0.58であり、Jefferys[1961]の基準に照らし合わせると、両モデルの間に有意な差は見られないとい
う結果であった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文
?Iwata,T.,M.Imoto,and S.Horiuchi(2005),Probabilistic estimation of earthquake growth
to a catastrophic one,Geophys.Res.Lett.,32,L19307,doi:10.1029/2005GL023928.
学会発表
?岩田貴樹,井元政二郎,堀内茂木,検知した地震が成長する確率を用いた巨大地震の緊急地震速報,2005
年地球惑星科学関連学会2005年合同大会,2005年5月。
?岩田貴樹,井元政二郎,堀内茂木,地震が大地震に成長する確率〜緊急地震速報における利用〜,防災
科学技術研究所第4回成果発表会,2005年6月。
?井元政二郎,岩田貴樹,堀内茂木,検出した地震が巨大地震に成長する確率を用いた地震早期警報システ
ム,緊急地震速報伝達システムの開発と地震災害の軽減に関するシンポジウム,2005年10月。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

井元 政二郎

防災科学技術研究所

尾形 良彦

統計数理研究所