平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−82

専門分類

7

研究課題名

顎顔面頭蓋と体格指標の関連性についての統計的研究

フリガナ

代表者氏名

オオツカ スミマサ

大塚 純正

ローマ字

所属機関

昭和大学

所属部局

歯学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

韓国人健常児童の頭蓋顎顔面の成長と体格指標との関連性を調べ,さらに,それが日本人児童とどのような差異や類似性を示すか統計的に検討する。
また,できれば,成長モデルと関連させて歯科矯正治療に有用な統計モデルの構築を進めたい。


成長発育途上にある不正咬合者の矯正治療において,咬合の基盤となる顎顔面骨格が診断,予防や治療に多大な影響を及ぼすため,骨の成長方向や量及び時期を把握することは極めて重要である。骨の成熟程度を評価する場合,暦年齢を用いたのでは個人差が大きくむしろ生理学的年齢や身体の一部を指標とする相対成長を用いた方が有用であるとされている。そこで,顎顔面の成長発育の評価に際して,身長や上肢末端手腕骨(手指・手根骨)の成熟過程が実際に,これらの評価基準となりえるか否かについて統計学的手法を用いて検討することにした。
I.資料
韓国ソウル大学歯学部付属病院歯科矯正科所蔵の正常咬合を有する男子449名(6〜18歳)と女子339名(6〜17歳)の合計788名についての身長と同時期に撮影された側方頭部X線規格写真並びに左右手根骨X線写真を原資料とした。
II.評価方法
1.頭蓋顎顔面の大きさ
側方頭部X線写真より頭蓋,上顎並びに下顎をトレースし,計測点を設定した後,これらの大きさを距離として計測した。
2.骨年齢
手根骨X線写真を用いたFishmanの骨年齢評価法に従い個人の骨の成熟度を0から最大11までの12段階で評価した。以上の質的並びに量的多次元データを骨年齢毎に層別し,身長や頭蓋,顎顔面の成長変化の様相を統計学的手法を用いて検討した結果,以下の結論を得た。
III.結論
1.暦齢別に見た男女の骨成熟度(骨年齢)は,加齢に連れて増加の傾向を示したが,女子は男子に比較して2.2歳程度早く思春期性の最大成長を示す時期は,最大で2.8歳の開きがあった。
2.骨年齢と身長並びに頭蓋顎顔面との関連性は,男女とも身長との相関が最も高く,次いで,下顎,上顎,頭蓋の順で低下した。
3.骨年齢を基盤とした顎顔面頭蓋の成長変化は,性別や顎顔面頭蓋を構成する部位によって多様性を示し,従来の報告にあるような定型的な変化は観察できなかった。
以上の結果から,身長の変化を除いて,骨年齢により頭蓋顎顔面の成長変化の評価は必ずしも適当でないことが示唆された。
なお,本研究はいずれ昭和大学歯科学会誌に発表の予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究は次の手順に従って進める。
1)顎顔面頭蓋に唇裂・口蓋裂などの先天異常を有さない韓国人健常児童男女900名の側方頭部X線規格写真(セファログラム)を原資料とする。
2)セファログラムのデータに対して,個人の身長ならびに骨成熟度データを突合し,頭蓋顎顔面の成長との関連性を検討する。
3)韓国人児童と日本人児童との比較(関連分析)を行い,両者の類似性や差異について検討する。
なお,データ入力はPC−98系で行ない,統計処理はPC−98及びMacintosh用の統計ソフトの使用を考えている。
また,将来的に韓国人データと日本人データの比較を容易にするためのデータベース作成も行いたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大隅 昇

統計数理研究所

金乗 燦

昭和大学

柴崎 好伸

昭和大学

福原 達郎

昭和大学