平成162004)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

16−共研−2058

専門分類

9

研究課題名

リモートセンシングデータの解析とその植物生態学への応用

フリガナ

代表者氏名

ニシイ リュウエイ

西井 龍映

ローマ字

Nishii Ryuei

所属機関

九州大学

所属部局

大学院数理学研究院

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地球観測衛星等から地表面を観測した多変量分光データによって,陸上や海洋の生態系,気候系やそ
の相互作用をグローバルに把握できるようになりつつある。このようなリモートセンシングによる環境
計測には,まず植生,裸地,水域等の特定のカテゴリの検出が最初に求められるプロセスである。空間デ
ータの判別には,スペクトル情報による判別手法に地表面の位置関係を表す空間情報を取り込むことによ
り,判別精度を向上させることができる。ここではスペクトル分布には統計モデルを,空間情報を取り込
むために学習理論を用いた判別方法を提案する。また提案手法を実際に観測されたベンチマークデータに
適応し,性能の評価を行う。また一般に判別手法そのものについて理論的,実証的研究を行う。すなわち
統計的手法と学習理論の融合による判別手法を導出することである。
 統計手法と学習理論の融合による判別手法の導出という研究目的を,Nishii and Eguchi(2005)で提
案したSpatial AdaBoostにより,次のように達成した。
(1)教師データの各点で各カテゴリの事後確率を求める。
(この事後確率は統計手法で無くとも,SVMやニューラルネットのような
事後確率が導入できる手法なら,どれでも利用可能である)
(2)ある点における近傍での対数事後確率の平均を計算し、それを判別関数とする。
(3)異なる半径の近傍での平均対数事後確率に対する重みを経験リスクを最小化することで
逐次的に決定する。
(4)対数事後確率の重み付き線形和でテストデータを判別する。
提案手法を数値例や実データで検証した結果、高速な判別基準であり、計算時間を要するマルコフ確
率場に基づく判別手法と同程度の性能を持つことがわかった。提案手法はSwitzer(1980)による手法
とは全く異なるアプローチから提案されたものであるが,その拡張版であるとも見なせる。ただ、指
数ロスは誤判別された外れ値に対して大きすぎるロスを与えるため、判別関数に負の係数を与えてし
まう場合がある。そこで、ロバストなロス関数に基づくSpatial AdaBoostの研究を進めていて、部
分的な解決を見ている。また同一領域を複数の時点で観測した画像による判別のメタ学習についても
研究を進めている。またアダブーストに関連して基礎的な研究も行った。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Ryuei Nishii and Shinto Eguchi(2005).
Supervised image classification by contextual AdaBoost based on posteriors
in neighborhoods.
to appear in IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing.
Ryuei Nishii and Shinto Eguchi(2004).
Supervised image classification based on AdaBoost with contextual weak classifiers.
Proc.of 2004 IEEE International Geoscience and Remote Sensing Symposium,II,1467-1470.
Takashi Takenouchi and Shinto Eguchi(2004).
Robustifying AdaBoost by Adding the Naive Error Rate
Neural Computation 16,767-787(2004)
Noboru Murata,Takashi Takenouchi,Takafumi Kanamori and Shinto Eguchi(2004)
Information Geometry of U-Boost and Bregman Divergence
Neural Computation 16,1437-1481(2004)
Sojiro Tanaka and Ryuei Nishii(2004).
Deforestation models due to population and relief energy in east Asia.
Proc.of 8th China-Japan symposium on statistics,272-275.
西井 龍映,江口真透(2005)
学習理論による多重分光画像の判別
統計数理研究所 共同研究集会「環境統計データ解析の理論と実際」
統計数理研究所 2005/1/7

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

江口 真透

統計数理研究所

小池 文人

横浜国立大学

竹之内 高志

統計数理研究所