平成252013)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

25−共研−2076

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

3

研究課題名

耳鳴の原因となる神経基盤の解明

フリガナ

代表者氏名

オガワ タケシ

小川 剛史

ローマ字

Ogawa Takeshi

所属機関

(株)国際電気通信基礎技術研究所

所属部局

脳情報総合研究所 脳情報解析研究所 動的脳イメージング研究室

職  名

研究員

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は、耳鳴の発生に関わる聴皮質?辺縁系神経ネットワークの神経基盤を明らかにすることである。その意義は、自覚的症状である耳鳴を脳活動、脳形態の変化から客観的に示すこと出来ることにある。耳鳴によって聴皮質および辺縁系の脳形態変化や局所脳血流量の増加が見られるが、それらの神経基盤がどのように耳鳴を発生させるのか、未だに分かっていない。本研究では、MRI/EEG/MEGを用いて、聴皮質?辺縁系神経ネットワークの脳形態・脳活動・神経結合の異常な変化を空間的情報を基に神経活動の周波数分布を推定し、健常者と異なることを示し、将来的に耳鳴診断のための臨床応用を目指す。

これらの目的を達成するために、課題前後における自発脳活動の変化について、運動想像課題を用いて行った。自発脳活動の変化については、特定の課題を課さない自発脳活動に着目し、課題前後に測定したうえでそれがどのような変化をもたらすのかを検証した。運動想像課題中の脳活動として運動野(C3、C4)付近にミュー波(10から12Hz)の振幅の減衰が見られることが従来研究から知られているが、この情報を基に線形分離法を用いて右手・左手の運動想像および運動想像しない(レスト)、の3パターンを行っている場合の脳活動を識別することが出来る。この方法を用いて、課題中の脳活動から解読器(デコーダー)を作成する。このデコーダーに、何も課題を課していない時の脳活動を入力すると何らかの解読結果が出力される。この結果を、課題前、課題後で比較したところ、課題前は、「右手」・「左手」・「レスト」がまんべんなく出力されていたのに対し、課題を行った後は、右手の運動想像は変化がなかったが、左手の運動想像の解読結果が増え、レストの解読結果が減少した。このことから、課題が自発的脳活動に影響を与え、事前課題のリプレイ(再生)が起こっている可能性があることを示唆する結果が得られた。この結果は、運動想像課題のみならず、聴覚刺激を用いた場合であったとしても課題後に自発的脳活動への変化を及ぼすことが出来る可能性を示唆しており、耳鳴の抑制効果を調べる上でも重要な知見になると考えられる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究代表者の小川は、上記の研究成果を国内・国際学会でポスター発表を行った。
Ogawa T, Azuma Y, Ishii S, "Change of brain activity effect from motor imagery training: application to EEG-based brain machine interface", the 36th Annual meeting of Japan Neuroscience Society, P1-1-241, June, 2013, Kyoto.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会等は開催していない。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

吉本 敦

統計数理研究所