平成152003)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

15−共研−2051

専門分類

9

研究課題名

リモートセンシングデータの解析とその植物生態学への応用

フリガナ

代表者氏名

ニシイ リュウエイ

西井 龍映

ローマ字

Nishii Ryuei

所属機関

広島大学

所属部局

総合科学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地球観測衛星等から地表面を観測した多変量分光データによって,陸上や海洋の生態系,気候系
やその相互作用をグローバルに把握できるようになりつつある。このようなリモートセンシング
による環境計測には,まず植生,裸地,水域等の特定のカテゴリの検出が最初に求められる解析プ
ロセスである。ここでは,空間データの持つ空間構造を取り込んだ統計モデルを含んだ数理モデル
により,
 1)空間データの判別方式を導出すること
 2)その植物生態学への応用すること
を目的とする。
 空間データの判別では,スペクトル情報だけを用いた判別法を,画素間の空間情報を追加するこ
とにより判別精度を向上させることができる。従来は
a)スペクトルにもカテゴリにも確率分布を仮定する統計手法
でICMが用いられてきた。本共同研究での当初の目的は
b)スペクトルには確率分布を仮定しない学習理論を用い,カテゴリにはマルコフ確率場を当ては
める学習理論+統計手法,
を研究してきた。a),b)の両手法ともマルコフ確率場の母数決定に計算時間を多く取られる。し
かし,本共同研究では
c)カテゴリの近傍を弱学習機と見なし,その重みを決定する学習理論に基づく手法
を提案した。近傍に対する重みはマルコフ確率場の母数に相当するが,アダブーストによる提案手
法は,その決定を瞬時に行うため,高速である。この手法の整理と種々のデータへの適応によって
性能の評価を行う予定である。
 植物生態学については,リモートセンシングの役割を確認した。また空間の生態学について,統
計的手法が貢献できるか否かを,具体的な個別の問題で議論した。その結果,ある植物種が極相林
への侵入することが可能かどうかを,植物種の共変量から予測できるかどうかについて検討するこ
とになった。来年度も本共同研究を継続し,この議論を深めていく予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

IEEEの地球科学とリモートセンシング分科会が主催した Data Fusion Contest 2001 での問題は,既
存の判別結果を利用して判別手法を改良するものであったが,代表者が提案した手法をまとめた論文で
ある。
R.Nishii(2003).
A Markov random field-based approach to decision level fusion for
remote sensing image classification.
IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing,
41(10),2316--2319.
リモートセンシング画像の分析には古典的な多変量解析が広く用いられているが,最新の数理科学的手法も有
効なものかどうかが試されている。ここでは,この分野における統計的手法の役割をレビューし,土地被覆の
判別に対する学習理論の応用について議論した。
西井 龍映(2003)
応用統計学会 特別講演(統計数理研究所)
リモートセンシング画像への統計的手法の応用
---判別分析を中心として−−−
土地被覆を判別するには,カテゴリの空間分布をマルコフ確率場で近似する有効な方法がある。しかし,
判別には時間がかかる。ここでは,近傍をアダブーストの弱学習機として,重みを決定することにより
飛躍的に高速で性能的には同程度の判別基準が得られるとして,IEEEの地球科学とリモートセンシン
グ分科会のシンポジウム IGARSS 2004 で発表予定である。
R.NISHII and S.EGUCHI
Supervised Image Classification based on AdaBoost
with Contextual Weak Classifiers
環境科学に関する仕事としては,森林面積が人口の増加に伴ってどのように減少するかを,土地の起伏
量も説明変数として空間相関をもつ回帰モデルを得た。現在はその回帰モデルをスムースな関数の枠内
で検討している。
田中章司郎,西井龍映(2003)。
人口増加に伴う森林減少の空間モデル。
応用統計学,32(1),1--15。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

江口 真透

統計数理研究所

小池 文人

横浜国立大学