平成212009)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

21−共研−2059

分野分類

統計数理研究所内分野分類

h

主要研究分野分類

3

研究課題名

セミパラメトリック推測理論に基づく不完全データ解析手法の開発と応用

フリガナ

代表者氏名

ヘンミ マサユキ

逸見 昌之

ローマ字

Masayuki Henmi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

助教

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

医学研究に現れる生存時間データや繰り返し測定データなどは、打ち切りを伴うことが一般的である。そのような不完全データに対しては回帰モデルなどの統計モデルの特定は非常に困難となり、より仮定の少ないセミパラメトリック推測法が、これらの分野ではよく発達してきた。モデルの特徴を生かした簡明な推測法の提案が数多くなされ、それらの中には十分に実用的なものも多く存在する。生存時間解析における加速モデル、加法ハザードモデルの推測法が例として挙げられる。一方で、セミパラメトリック推測法の一般論に基づく統一的な視点による解析手法の提案も最近になってなされてきている。例えば、Lu and Tsiatis (Biometrika, 2008)は、無作為化臨床試験の共変量調整に対して、 通常用いられるCox回帰よりも検出力の高い方法を、セミパラメトリック推測の一般論に基づいて構成した。本研究の主な目的は、医学データに動機付けられるいくつかの問題において、最近の一般論を有効に活用した統計的方法の開発を行うことである。
 この研究を行うためには、セミパラメトリック推測の一般論に対する深い理解と、生存時間解析などに現れるセミパラメトリックモデルに対する個別的な理論展開の理解が必要である。今年度は生存時間解析あるいは因果推論に関するセミパラメトリック推測に関する個別の問題の研究を進めるとともに、セミパラメトリック理論の一般論の基礎の習得とそれを意識した上でこれまでの研究テーマを再評価し、新たな問題の枠組みを提起した。現在、その解決に取り組んでおり、次年度も継続して研究を進める予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1. 服部 聡(2009). 生存時間解析におけるセミパラメトリック推測とその周辺. 統計数理 57, pp119-138.

2. Hattori, S. and Kato, M. (2009). Approximate subject-deletion influence diagnostics for Inverse Probability of Censoring Weighted (IPCW) method. Statistics and Probability Letters 79, pp1833-1838.

3. Hattori, S. (2010). Comparing randomized groups based on accelerated failure time model. Submitted.

4. Fujii, Y., Henmi, M. and Fujita, T. (2010). Evaluating the interaction between the therapy and the treatment in clinical trials by the propensity score weighting method. Submitted.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

服部 聡

久留米大学