平成232011)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

23−共研−1005

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

GPS-TECを利用した地球プラズマ圏の電子密度分布のモデリングに関する研究

フリガナ

代表者氏名

ウエノ ゲンタ

上野 玄太

ローマ字

Ueno Genta

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

准教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

宇宙空間の応用は、人工衛星を利用した測位や環境モニタリングなど様々な目的のために拡大しており、その媒体である電波の伝搬特性の高精度な解析が求められている。こうした電波に大きな影響を及ぼす電離圏については、従来から様々な方法で調査が進められているのに対し、電離圏の外側で地球を取り囲むプラズマ圏に関しては、媒質の異方性が無視できないにもかかわらず、その原因となる電子密度の空間構造を十分に把握しきれていないのが現状である。これに対し、理論・観測の両面から電離層+プラズマ圏の電子密度分布モデルの構築が試みられているが、未だに標準化には至っていない。その中で、Gallagherらにより提案されたGlobal Core Plasma Model (GCPM) は、電子密度の空間微分値の連続性を保証している点や、領域ごとにモデルの改良が可能な点など様々な長所があることから、今後、様々な分野で活用されると推測される。こうした背景を踏まえ、本研究ではGlobal Positioning System (GPS) のデータから得られる Total Electron Content (TEC) を用いて、GCPM の誤差のパラメータ依存性をモデル化することを目的としている。GPSのTECデータからグローバルな電子密度分布そのものをモデル化するのは、難易度の高い課題であるが、ベースモデルとして GCPM を利用することにより、問題は比較的容易な誤差モデルの構築に帰着できる。
本年度は、赤道域におけるGCPMの誤差についてモデル化を完了した。赤道面内に経路をとるGPS-TECと同じ経路上でGCPMにより推定されたTECの差の統計的分布を調べることにより、年月日、位置、ローカルタイム、太陽活動度、地磁気活動度をパラメータとした多次元空間におけるTECのバイアス誤差モデルを作成した。また、低軌道衛星で取得したGPS-TECのローカルタイムおよび地磁気活動度に対する依存性から、誤差が生じている高度領域を特定した。この誤差モデルを用いた改良型GCPMにより、低緯度においてより高精度な電子密度分布を再現することが可能である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表
Y. Goto, Y. Kasahara, and T. Ide, Improvement of equatorial density distribution of the global core plasma model using GPS-derived TEC, Radio Science, Vol. 47, RS0F12, doi:10.1029/2011RS004763, 2012.

研究会発表
後藤由貴, 笠原禎也, GPS-TECデータを用いた赤道域のGCPM電子密度モデルの補正, 第199回生存圏シンポジウム「SGEPSS波動分科会」, 金沢大学, 2012年3月.

関連ホームページ
I. Kimura, Y. Goto, Ray Tracing, http://waves.is.t.kanazawa-u.ac.jp

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

後藤 由貴

金沢大学