平成152003)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

15−共研−2026

専門分類

7

研究課題名

多年生林床草本の空間的個体群動態解析

フリガナ

代表者氏名

シマタニ ケンイチロウ

島谷 健一郎

ローマ字

Shimatani Kenichiro

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

光は植物にとって必要不可欠な資源である。隣接する植物個体間には光を巡る競争が存在
し、この競争には方向性がある。すなわち、より上位の空間を占めた個体が光を遮ることによ
って光資源を独占し、下位の個体の受光量は甚小となる。植物個体群における光を巡る競争は
個体群の構造や動態に多大な影響を与える。ところで、光を巡る競争が個体群の構造に与える
影響について、明るい場所を生育地とする一年生草本の実験個体群では多くの知見があり、初
期成長の差がその後の個体の生残を決定することが明らかである。しかし、林床のように光資
源が豊富でない環境に生育する植物の、光をめぐる競争の個体群への影響についての研究は極
めて少ない。さらに、林床植物は地下器官に貯蔵した物質を成長に有効に使うことから明地の
植物とは異なる振る舞いをすることが予想される。本研究は多年生林床植物クルマバハグマに
ついて、個体群構造・動態についての詳細な調査をおこなうことによって、相互被陰が林床植
物の個体群にどのような影響を与えるのか、明らかにすることを目的とする。
本年度も、福島県南会津地方の落葉樹林林床に設置されたプロットにおいて、クルマバハグマ
の個体群動態の追跡調査を9月に,1月にその補足・確認等を行った。全個体にマークをつけ、
前年からの生残・死亡および新規加入個体を確認し、個体のステージ(実生・無花個体・有花
個体)の記録、さらに個体のサイズ(高さ、葉数、葉面積)と個体の位置の測定を行った。蓄
積されたデータから,個体群のサイズ構造に年次変化はほとんど見られないこと,個体サイズ
の年次変化は小さいこと,個体サイズは減少し続ける個体もあること,当年実生は死亡率が高
いが2年目以降に生残できた実生はその後も生残する可能性が高いこと,などが明らかになっ
た。個体群内の相互被陰は必ずしも個体群の維持に大きな影響を与えているとはいえないこと
が推察できた。今後,生残可能な個体,繁殖可能な個体などの特徴を明らかにしていく。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・Response of achene germination to temperature of five Mutisieae understory herbaceous species
(Asteraceae)(Kawarasaki,S.,Abe,Y.and Hori,Y.,In preparation)
・Seasonal growth of summergreen understory herbs,Pertya robusta,P.triloba and Ainsliaea acerifolia
var.subapoda,in a cool temperate deciduous forest.(Kawarasaki,S.and Hori,Y.,In preparation)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

河原崎 里子

独立行政法人 森林総合研究所

堀 良通

茨城大学