平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−92

専門分類

8

研究課題名

言語の文法構造のデータの統計解析

フリガナ

代表者氏名

ウエダ スミエ

上田 澄江

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

語順規則の統計モデルを提案し,コンピュータ・シミュレーションによる世界の言語分布を考察する.また,オーストラリア原住民語の話者の高齢化が加速し,角田太作氏が世界で唯一の話者となってしまっている例もあり,現地調査によるデータの収集および収集データの整理が急がれている.その文法構造は大変に興味深く,周知の言語との統計的な比較によって,その異質性が顕著となると思われる.


角田(1991)による「世界の130言語の語順表」における項目2の「名詞と側置詞」が日本語に近い順序を示すか否かで、語順規則から世界の言語分布を大まかに規定しているように思われる。この項目2およびこれと相関の高い項目との計8個の項目について考え、日本語と同じものに+1、逆の語順を示すものに-1の数値を与える。130言語のこの8項目の和の度数分布は2つの山形を示す。
一方、この8項目の中から3項目を選択し、多数を占める符号に移動がおこるとする。つまり多数決のルールによって変化するモデルを考える。さらにある確率でプラスからマイナス、あるいはマイナスからプラスへ符号が逆転をおこす突然変異を仮定する。このときの挙動は現実の語順規則をよく反映しているように見えることをシミュレーションにより確認した。
また、オーストラリア原住民語の収集データの整理をおこない、特徴をまとめ、統計的分析を行なった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

伊藤栄明、上田澄江、共存と確率モデル、生命体科学、総合研究院大学、1998.
Tsunoda, T, Applicative constructions in Warrungu of Australia, In Anna Siewierska and Jae Jung song(eds.), Case, typology and grammar (Typological Studies in Language 38), 343-73, Amsterdam/Philadelphia; John Benjamins, 1998.

角田太作、フィールドワーカーの任務、日本言語学会シンポジウム「危機に瀕した言語」,1998.8.4.
角田太作、オーストラリア原住民語の状況から、国際シンポジウム「少数派言語の消滅と文化の多様性の消失を考える」、1998.10.28.
角田太作、フィールドワークと一般言語学、日本言語学会シンポジウム「フィールド言語学と理論」1998.10.31.
Tsunoda, T., Documentation of Endangered Languages', Univ. of Bielefeld, Germany, 1999, Jan 14.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究内容 言語の語順の統計モデルを提案する.コンピュータ・シミュレーションを試みる.オーストラリアの原住民語の資料を整理し,統計的分析を行なう. 共同研究の必要性 コンピュータ・シミュレーションと実際の語順データとの関連性を検討する.周知の言語とオーストラリア原住民語との文法構造上の異質性および同質性について,統計的な検討をする.


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

角田 太作

東京大学