平成282016)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

28−共研−2021

分野分類

統計数理研究所内分野分類

c

主要研究分野分類

2

研究課題名

過疎地における歩行者および複数バス経路のリアルタイム最適化

フリガナ

代表者氏名

シバタ ナオキ

柴田 直樹

ローマ字

Shibata Naoki

所属機関

奈良先端科学技術大学院大学

所属部局

情報科学研究科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

27千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究に関し,情報処理学会第24回 マルチメディア通信と分散処理ワークショップ (DPSWS2016)にて発表を行った.以下に概要を示す.

 近年,特に過疎地域において,固定路線バスの不採算路線の代替手段としてデマンドバスが注目され,実用化されている.しかし,多くのデマンドバスが予約にオペレータの介在が必要であるなど利便性が高いとは言えず,また採算性も低い.これに対し,自由な経路を持ち,より低遅延で予約の受理率が高いデマンドバスを自動でスケジューリングするシステムの研究が行われている.しかし,これらの研究では主に都市の中心部を対象としており,過疎地域においても運用した場合の採算性が十分に考慮されていない.本稿では過疎地域においての運行も想定して,徒歩移動とデマンドバス間または鉄道など既存交通との乗り換えをナビゲートするデマンドバスのシステムを提案する.本システムにおいて,デマンドバスは自由な経路を走行するが,ユーザに対しデマンドバスの迂回が少なくなる乗降地点まで徒歩経路を案内し,乗り換えも案内する.これによりデマンドバスの迂回経路を削減し,運行の効率化を図る.

 デマンドバスの経路設計問題は Dial-A-Ride Problem( DARP)として定式化され,タイムウィンドウを用いて経路設計を行うアルゴリズム, Advanced Dial-A-Ride with Time Windows( ADARTW)が提案されている.また ADARTW に類似する手法を用いて,経路設計を自動で行うデマンドバスシステムが研究されている.これらのデマンドバスシステムは都市の中心部のおける実証実験において,乗客の希望地点間を相乗り型交通を用いて輸送する手法がシステムとして動作することを確認している.DARP は NP 困難であることが知られており,デマンドバスのスケジューリングの計算コストが問題となる.本研
究においては,徒歩経路や乗り換えを案内するための計算も必要となり,より一層の計算コスト増加が見込まれる.一方,スマートフォンを使用するユーザの許容待ち時間はおよそ 8.4 秒であることが分かっている.そこで,ユーザのクエリに対するサーバの応答を 2 種類用意することを考える.第 1 の応答は,レスポンスタイム 10 秒程度を目安とした簡易的な応答(フォアグラウンド応答と呼ぶ)である.フォアグラウンド応答では,短い計算時間内で見つかったスケジュールの中で最も良い結果を仮決定し,ユー
ザにいったんクエリを受理可能か提示する.第 2 の応答は,バスの迂回を最適化したスケジュールの計算結果をフォアグラウンド応答後に提示する応答(バックグラウンド応答と呼ぶ)である.これらの応答により,ユーザが応答待ちを意識しないようにバスのスケジュールの最適解を計算する.
 本稿では,以上のような問題の定式化を行いシステムの構成について検討する.また,システムが実用的な計算時間でスケジュールを算出可能か,実用的なコストで運用可能かを評価する手法について検討している.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

政野 博紀, 柴田 直樹, Gao Juntao, 南 和宏, 伊藤 実: オンデマンドバスのための乗り換えを含むリアルタイムルートスケジューリング, 第24回 マルチメディア通信と分散処理ワークショップ (DPSWS2016), 2016年10月. http://id.nii.ac.jp/1001/00174940/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

開催していない

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

南 和宏

統計数理研究所