平成272015)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

27−共研−4301

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

3

研究課題名

メタアナリシスにおける方法論の新展開とその実践:用量反応・バイオマーカー・予測モデル

重点テーマ

次世代への健康科学

フリガナ

代表者氏名

タカハシ クニヒコ

高橋 邦彦

ローマ字

Takahashi Kunihiko

所属機関

名古屋大学

所属部局

大学院医学系研究科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

160千円

研究参加者数

7 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

 薬剤の治療効果やリスク評価などにおいて,研究結果を統合して定量化するメタアナリシスの議論が古くから行われ発展してきた。特に複数の無作為化比較試験での治療効果を統合するメタアナリシスについては代表的な統計的方法とともにその手順が提案されており実際多くの研究が医学・疫学分野で行われている。一方,医学研究の分野でメタアナリシスの重要性が認識されてくるとともに,従来のメタアナリシスで想定されていない複雑な状況での適用の需要も高まってきている。しかしそれらの状況に適切な解析方法が開発されていないこともあり,時に適切とは言えない古典的な方法を強引に適用してしまった研究なども報告されている。
 そこで本研究では,従来のメタアナリシスの枠組みでは対処が困難な問題が多く介在する具体的な状況として,疫学分野における用量反応関係,バイオマーカーと予後の関係,予測モデルにおけるメタアナリシスに着目し,従来の方法を適用する際に発生する問題点を明らかにし,統計的により適切な解析方法の検討と提案を目的とする。さらにそれらの方法を実際の医学疫学研究において適用した実証研究も併せて行い,医学分野において統計研究者が貢献できるような研究を実施する。
 本年度は,具体的な課題として,まず(1)「非線形用量反応関係のメタアナリシス」としてアルコール摂取量と総死亡の関係に関する用量反応関係の観察研究結果のメタアナリシスにおいて,新たに検討している統合手法を適用し,先行研究の結果との比較を行った。また(2)「予後因子研究におけるメタアナリシスの方法と適用」として,カットオフ値が異なる予後因子研究の結果を統合する新たな方法を提案し,乳癌におけるKi-67の予後因子研究のメタアナリシスに適用を行った。さらに(3)「疾病発生の予測モデルにおけるメタアナリシス」として,複数の施設から得られたデータにおいて共変量の組み合わせが異なるような場合の回帰係数の統合手法を提案し,シミュレーションによる比較ならびに実際の多地域コホート研究のデータに適用を行った。これらの研究成果は,それぞれいくつかの論文発表,学会発表として発表を行った。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表:

・Sadashima E, Hattori S, Takahashi K (2016). Meta-analysis of prognostic studies for a biomarker with a study-specific cut-off value. Research Synthesis Methods. (in press)

・Yoneoka D, Henmi M, Sawada N, Inoue M (2015). Synthesis of clinical prediction models under different sets of covariates with one individual patient data. BMC Medical Research Methodology. 15(1):101.


学会発表:

・Nakao H, Takahashi K, Hattori S (2015). Meta-analysis of J-shaped dose-response curves on alcohol dosing and total mortality. East Asia Regional Biometric Conference 2015, Dec. 20-22, 2015, Fukuoka, Japan.

・Yoneoka D, Henmi M (2015). Meta-Analysis of Regression Results under Different Categorization of Covariates. East Asia Regional Biometric Conference 2015, Dec. 20-22, 2015, Fukuoka, Japan.

・服部聡 (2015). 診断法のメタアナリシスにおける感度解析. 2015年度統計関連学会連合大会. 岡山大学, 2015年9月8日.

・米岡大輔, 逸見昌之 (2015). 連続量とその離散化を考慮した回帰モデルのメタアナリシス. 岡山大学, 2015年9月8日.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

「メタアナリシスにおける方法論の新展開とその実践」研究会
2016年3月7日,8日.統計数理研究所・国立遺伝学研究所 サテライトオフィス(6名)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

貞嶋 栄司

久留米大学

中尾 裕之

宮崎県立看護大学

服部 聡

久留米大学

逸見 昌之

統計数理研究所

米岡 大輔

総合研究大学院大学