平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−63

専門分類

7

研究課題名

繭型の相違によるカイコの品種分類

フリガナ

代表者氏名

ナカダ トオル

中田 徹

ローマ字

所属機関

 

所属部局

職  名

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

カイコの繭の形は、品種により複雑かつ微妙な相違がみられ、これは野生昆虫から現在のカイコへの進化の過程を示すメルクマールの一つと考えられる。すなわち、現在世界各地に形成されている多くの品種の特性を調査することにより、生物進化のプロセスを探索する。


世界各地にあるカイコの収集と繭型の調査を行い、その統計遺伝学的な解析を続行中であるが、本年は主としてインド産の熱帯多化性品種および中国産の温帯2化性品種について調査した。カイコの繭型は楕円型、ピーナッツ型、紡錘型等に分化しているが、一般に中国種は大型の楕円形を呈し、また熱帯種は小型の長楕円または紡錘型が多くなっており、これは遺伝的分化による地域品種の形成の結果を示すものと考えられる。
これらの品種の繭型の類似性について、クラスター分析を行い、得られた多くのデンドログラムの相互比較を試みた。その結果、これらの品種は繭の大きさ、形等を示す各種の変数の組合せにより、いくつかのグループに分類することができた。
それらの特徴は、まず第一に繭の大きさによるグループ化がみられ、ついでグループ内で形の分類が行われるパターンとなっている。主成分分析を行うと、第1主成分に繭の大きさに関係する、長径、短径、断面積、体積等の変数がみられるが、それぞれの固有値には大差はみられない。
第2主成分には繭の重さに関係するとして、長幅率に特異的大きな値がみられた。第3主成分では繭の重さに関係する変数に特異的な値がみられるが、この繭の重さには繭の大きさと高い相関がみられるので、ある程度の情報量は第1主成分と共有している可能性がある。以上の問題についてさらに検討を続行中である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Nakada, T. On the cocoon shape measurement and its statical analysis in the silkworm, Bombyx mori L. Indian Journal of Sericulture vol. 33 (1) 100-102 1994

中田 徹 アジア温帯および熱帯地域産蚕品種の繭型分布 日本蚕糸学会第65回大会 1995.4.6

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

現在、世界各地にあるカイコの収集と繭型の調査を続けているが、繭の形は楕円形、ピーナッツ型、紡錘型など複雑な分化がみられる。そこでこれらの形態を著者の開発した画像解析装置により計測し、その数量化を行って地域品種の特徴を把握する。さらに品種間交雑を行って後代の繭型がどのように推移するか統計遺伝学的な考察を加える。この研究を効果的に行うために、多変量解析や各種の統計分析の手法の開発について、統計学の専門研究者との共同研究の必要がある。なお、以上の研究のため、著者はインドや中国などアジアの温帯・熱帯地方を中心としてカイコの保存系統の遺伝学的調査を続行中である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

村上 征勝

統計数理研究所