平成252013)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

25−共研−1032

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

女性の結婚・出産期の就業と職場特性及び家事分担に関する分析

フリガナ

代表者氏名

テラムラ エリコ

寺村 絵里子

ローマ字

Teramura Eriko

所属機関

国際短期大学

所属部局

国際コミュニケーション学科

職  名

准教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本分析は、政府統計のパネルデータを用いて、成年期の女性の結婚・出産期の就業の特徴を明らかにするとともに、就業と家庭内における家事分担の関係及び職場特性が就業に与える影響等の因果関係を検証することを目的としている。使用するデータは厚生労働省が2002年から2010年に実施した『21世紀成年者縦断調査』である。
今回使用申請する『21世紀成年者縦断調査』は日本でも数少ない貴重なパネルデータであり、データの貸与を受け、分析を行うことによりさらに多くの知見を得たい。本データについては、申請者メンバーが分担し、企業における女性労働者の就業と職場環境や家庭要因に関する変数との関わりを分析する。企業内における職場環境のコンフリクトのみならず、個人における仕事と家庭のコンフリクトまで研究の視野を広げ、幅広く女性のキャリアについて検証を行う。
 分析の主な内容は以下の通りである。企業等において「職場の雰囲気」と称される暗黙の雰囲気により、仕事と家庭を両立して働き続けることは難しいと女性労働者が感じていたか否かを検証する。「職場の雰囲気」について尋ねたマイクロデータは必ずしも多くはない中で、本データは出産時の「職場の雰囲気」を尋ねている貴重なデータである。企業属性(業種・規模)別及び個人属性(年齢・学歴・配偶者有無)を考慮し、女性労働者の就業行動に与える「職場の雰囲気」の効果を計量的分析を通じて検証する。
 分析の結果、特に出産時における育児休業制度を利用しやすいという「職場の雰囲気」が「ある」と女性が回答した場合、その後の女性の就業のみならず出生においても大きく正の効果が確認された。女性の就業行動と出生行動の双方に、「職場の雰囲気」が影響を与えている可能性が示唆される。
 なお、同データは本助成を通じて統計法33条の適用を受け貸与が可能となったものである。厚く御礼申し上げたい。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 本データを用いた分析の学会発表を年度中に4回行った。いただいたコメントをもとに原稿を修正し、現在査読付き雑誌に投稿中である。
【学会発表】
Eriko Teramura
"The Effects of Workplace Norms on Female Labor Supply and Childbirth in Japan"
Labor and Employment Relations Association /ASSA (Pennsylvania Convention Center,Philadelphia) 2014年1月

Nobuko Nagase,Eriko Teramura,and Mana Yamaya
"Childbirth and Labor Participation of Japanese Women: The Effect of Child Care Leave Law and the Employment Practice"
Labor and Employment Relations Association /ASSA (Pennsylvania Convention Center,Philadelphia) 2014年1月

寺村絵里子
「企業内の職場規範が女性の就業・出産に与える影響」
公的統計のミクロデータの利用に関する研究集会(東京都・統計数理研究所) 2013年11月 統計センターリンク http://www.nstac.go.jp/services/setumeikai_251122.html

寺村絵里子
「企業の両立支援制度・制度利用のしやすさが女性の出産に与える影響」
第65回日本人口学会(北海道・札幌市立大学) 2013年6月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

的統計及びパネルデータの取り扱いに関し、2回研究会を実施した。

日時:2014年1月26日、2月2日 13:00-17:00
場所:お茶の水女子大学本館経済資料室
参加人数:4名及び講師1名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

永瀬 伸子

お茶の水女子大学

山谷 真名

お茶の水女子大学