昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−31

専門分類

5

研究課題名

神経回路網の統計物理と並列分散処理

フリガナ

代表者氏名

シノモト シゲル

篠本 滋

ローマ字

所属機関

京都大学

所属部局

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

神経回路網・免疫系などの並列分散処理を行うシステムとスピングラスや力学系など統計物理にあらわれる系との類似が注目されている。
本研究ではこれらの系の基礎理論の研究を行うとともに,統計物理とのアナロジーを生かしたアルゴリズムの開発をめざす。
また,隣接する各分野(統計,認知心理,神経生理)との交流をはかる。


本年度は,神経回路網とそれに関連した並列分散処理の原理について基礎的な研究をおこなった。
伊庭はボルツマンマシンなどの神経回路網モデルと大規模モデルを用いたベイズ推定との関連を指摘し,画像処理や分類の問題に対するメトロポリス法の応用を研究した。また,画像処理における平均場法(一体近似)の有効性と限界を明らかにした。これらの結果は伊庭の学位論文としてまとめられる予定である。
原と田村は神経系の自己組織化について数理モデルを用いて考察した。篠本は目の能力と錯視について視覚系をフィルターと見なす観点から論じた。
以上の研究とその周辺に関して,共同研究者間及び他グループとの交流をはかるため,1988年6月に研究会「物理学と情報処理」を行い成果と知識の交換を行った。
また,1989年2月には関連した研究会「COMPLEX SYSTEMS/冬の学校」を行い,生物進化の問題及び最適化理論に関してそれぞれ一線級の研究者に講義をお願いした。これは,将来なんらかの形で「夏の学校」的なものを作るための試行的な意味も含めて計画されたものであるが,幸い好評を得ることができた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・伊庭 日本物理学会 春の総会 4月神奈川
「モンテカルロ法と統計学−分類の問題への応用」
・伊庭 湯川国際セミナー“Cooperative dynamics in complex physical systems”8月京都「Bayesian Statistics and Statistical Mechanic」
・篠本 湯川国際セミナー同上8月京都


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(a)基礎理論およびアルゴリズムの研究のために計算機によるシュミレーションを行う必要がある。
研究所の大型計算機・ワークステーションを利用してこれを行いたい。
(b)各大学の,また種々の分野の研究者との交流をはかる。
このために研究所の「広場的」機能を利用したい。
(c)この分野は統計学(ここに大規模ベイズ推定)と多くの問題意識を共有している。研究所のスタッフと交流することで相互の関係を明らかにするとともに,現実のデータをあつかう上でのセンスを学びたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

池上 高志

東京大学

伊庭 幸人

統計数理研究所

金子 邦彦

東京大学

田村 義保

統計数理研究所

戸田 幹人

京都大学

原 啓明

東北大学