平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2057

分野分類

統計数理研究所内分野分類

h

主要研究分野分類

3

研究課題名

セミパラメトリック推測理論に基づく不完全データ解析手法の開発と応用

フリガナ

代表者氏名

ヘンミ マサユキ

逸見 昌之

ローマ字

Henmi Masayuki

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

助教

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

1 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

医学研究に現れる生存時間データ、繰り返し測定データなどは、打ち切りや脱落を伴うことが一般的である。そのような不完全データに対しては回帰モデルなどの統計モデルの特定は非常に困難となり、より仮定の少ないセミパラメトリック推測法が、これらの分野ではよく発達してきた。モデルの特徴を生かした簡明な推測法の提案が数多くなされ、それらの中には十分に実用的なものも多く存在する。生存時間解析における加速モデル、加法ハザードモデルの推測法が例として挙げられる。一方で、セミパラメトリック推測法の一般論に基づく統一的な視点による解析手法の提案も最近になってなされてきている。例えば、Lu and Tsiatis (2008) は、無作為化臨床試験における共変量情報を取り込んで、 通常用いられるログランク検定よりも検出力の高い方法を、セミパラメトリック推測の一般論に基づいて構成している。本研究の目的は、医学データに動機付けられるさまざまな問題に対し、最近の一般論を有効に活用した統計的方法の開発を行うことである。
 本年度はまず、Lu and Tsiatis (2008) の提案した方法を拡張し、比例ハザード性が必ずしも成り立たない場合でも、共変量情報によって推定精度や検出力を上げるための方法を提案した。この結果は、国内外のいくつかの研究集会で発表し、さらに論文Hattori and Henmi (2011) にまとめて、現在投稿中である。また、欠測データ解析や因果推論の分野で近年注目を浴びている、二重ロバスト推定量と呼ばれるセミパラメトリック推定量や、セミパラメトリックモデルに対するモデル選択に関する研究も進行中であり、その解決を目指して、次年度も継続して研究を進める予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表
服部 聡, 逸見 昌之. 誤特定したCox回帰による治療効果の推定, 2010年度統計関連学会
連合大会, 東京, 2010.9.6.

Hattori, S. and Henmi, M. Estimation of treatment effect based on possibly misspecified
Cox regression, XXVth International Biometric Conference, Florianopolis, Brazil,
2010.12.7.

プレプリント
Hattori, S. and Henmi, M. (2011). Estimation of treatment effect based on possibly misspecified Cox regression. (submitted)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関