平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−50

専門分類

6

研究課題名

地殻変動観測データのための時系列解析手法の開発

フリガナ

代表者氏名

ワクイ センイチロウ

涌井 仙一郎

ローマ字

所属機関

気象庁

所属部局

地震火山部

職  名

主任研究官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地殻変動連続観測記録から、真の地殻変動の信号を抽出するためには、地球潮汐の除去、降水・気圧・気温などの影響の補正を行わなければならない。地震予知を目的とする地殻変動監視のためには、これらの除去や補正をリアルタイムで行うための解析手法を開発する必要がある。


前年度に引き続き,当室(松代)に設置されている石英管伸縮計のデータに現われる降雨の影響をタンクモデルの段数をさらに増加させる改良で表現することを試みた。
1992年から1996年の期間の松代における伸縮計南北成分の変化について、モデルのタンク数を6段に増やして,最終タンクの水位と歪変化が一致するようなパラメータを求めた。この結果,温暖期(4月〜11月)のまとまった降雨後に見られる約1ヶ月程度の伸びの変化はタンクモデルの出力と良く一致することがわかった。タンクモデルの段数を増やすことは降雨のおよぼす影響をより遅らせるように作用する。また,南北成分のみに見られる2〜3ヶ月にもおよぶ伸びの変化については長期間の積算降雨量のピークと伸縮計の伸びのピークが数日の差でほぼ一致することから積算降雨量とかなりよい相関を示すことがわかった。
しかし,年によっては,タンクモデルの出力の大きさと歪の変化の量的な関係が一致しない年もある。これは,解析期間による地盤の乾湿状態により,降雨が影響する浸透雨水の相違と考えらるので,年によりパラメータの調整が必要である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

西前裕司,舟崎 淳,尾形良彦,松代の伸縮計に及ぼす降雨の影響について,地球惑星
科学関連学会,1998年5月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

降水量は地殻変動データに、大きな影響を与える要素の一つである。降水量データとして、時間雨量を入力とするタンクモデルの出力は、これまでの共同研究で伸縮計の変化量と定性的にはよく対応している。しかし、降水量と伸縮計の変化量の量的な対応は、期間により一定ではない。このため、タンクモデルの出力が伸縮計変化をもっともよく説明できるようにパラメータを調整する。パラメータの調整は試行錯誤により繰り返し行うが、最適な値を求めるには、統計的解析手法や、時系列解析手法の開発の実績を持つ貴所との共同研究を実施するのが効果的である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

阿部 正雄

気象庁

尾形 良彦

統計数理研究所

北川 源四郎

統計数理研究所

佐藤 整尚

統計数理研究所

西前 裕司

気象庁

古舘 友通

気象庁地震火山部

松浦 律子

地震予知総合研究振興会