平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−88

専門分類

8

研究課題名

人間関係意識の国際比較方法の研究

フリガナ

代表者氏名

ハヤシ チキオ

林 知己夫

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

名誉教授

職  名

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

欧米諸国における歌舞伎公演アンケートの分析や中国の社会調査結果を基にして,各国間の感動の構造・人間関係意識の国際比較を行う。これらのデータを通して,新しい視点に立つ分析方法を開発し,国際比較研究・国際相互理解の核となる情報をとり出す。


[実施状況]
平成2年度は主に中国との比較を行なった。平成元年度に首都圏で実施された調査(費用は別途)では,中国で既に行なわれた調査(ハワイ大学イーストウェストセンター)と比較のための共通の質問を多く用いており,それらの分析を行なった。また,台湾や韓国でも共通の質問による調査が行われており,今後それらの比較も行なっていく予定である。
[成果]
単純集計の比較では日中の差はかなり大きいと言える。社会体制や経済状態などの現実状況によるところも非常に大きい。その中から,それらを越えた差があるかを探ろうと試みた。社会体制・経済の諸要素を取り除くことは不可能であるが,諸質問の回答の相互関係から考え方の筋道を探ることにより,ある程度本質的な様相を知ることができると考えられる。そこで質問をいろいろな分野に群別してパターン分類の数量化で分析した。その結果,家庭観,労働,人間関係など,それぞれの群では考え方の筋道がそう違っていないことが解った。しかし,年齢別に見ると日中の差は大きく,中国における文化大革命の教育の影響と思われる様相が明らかに現れているのが注目された。また,質問群をまとめて,人間関係と労働という相互関係になると,日中の違いがあらわれてきた。いろいろな分野を合わせ見るとき,国際比較における大事な特徴が現れるということが,これまでのアメリカやヨーロッパとの比較だけでなく,中国との比較でもみられたのである。今後,台湾,韓国,東南アジア諸国のデータの分析ができることを期待している。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

これまでに分析してきたデータを再分析し,自由回答については詳しい分析を進める。さらに,これまでのアンケートの質問にも検討を加えて,新たなデータを集める。
また,中国の社会調査データの分析から,日本と比較するベき問題を探り,特別推進研究で得た5ケ国調査とも比較できる項目も含めた調査が平成元年度中に実施されるが,その分析も進める。
国際比較研究の核となるのは人間の感動の構造・人間関係意識であり,これについての情報をひきだす。これは統計数理研究所の長年の国民性研究,国際比較との関係が大きく,共同研究の必要性がある。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

飽戸 弘

東京大学

岩男 寿美子

慶應義塾大学

河竹 登志夫

早稲田大学

高師 昭南

武蔵野美術大学

鈴木 達三

帝京平成大学

鈴木 裕久

東京大学

林 文

東洋英和女学院大学