平成31991)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

3−共研−8

専門分類

6

研究課題名

地震とフラクタル研究会

フリガナ

代表者氏名

サイトウ マサノリ

斎藤 正徳

ローマ字

所属機関

東京工業大学

所属部局

理学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

27 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

不均質物質の破壊パターンがフラクタル(統計的自己相似)であることは良く知られている。地震の場合,破壊パターンである断層系がフラクタルであるばかりではなく,地震発生を点過程としてみたとき,その時間・空間・サイズ分布もフラクタル構造を持つことが明らかになってきた。地震を理解する上で,フラクタルは基本概念になりつつあるといえるし,逆に,地震はフラクタルを研究する良い題材と言える。フラクタルには,決定論的な側面と統計的な側面があるが,最近,特に統計的な側面の重要性が認識されてきている。本研究会は,地球物理,物理,数学などの分野にとらわれず,地震を中心テーマにして,広く破壊現象,フラクタル,そしてその統計的な構造に興味を持つ研究者が集まり,新しい手法,新しい世界観を生みだすことを目的としている。なお,本研究グループは,1984年から6巻におよぶ”数理地震学”(統計数理研究所報告)を成果としてまとめている。


本研究会は平成4年1月16日,17日の2日間にわたり、統計数理研究所において開催された。今回はこれまでに行われた研究会の成果を踏まえて、特に破壊現象に注目して開催され、いくつかのレビュー的な講演と研究発表が行われた。
破壊には岩石内の微小破壊(μmオーダー)から、プレート沿いの巨大地震(100km オーダー)まで、非常にスケールが異なる現象が見られる。これほどスケールが異なる破壊現象を統一的な描像で見ることができるのはフラクタルであろう。物理学者は一般に、よりミクロな現象の素過程からマクロな現象を説明しようとする。くりこみ群を用いたアプローチはその一つである。パーコレーション・モデル,セル・オートマトン,self-organized criticality などの手法を用いた研究は、破壊のミクロな素過程を単純化し、マクロな挙動を説明しようとする試みである。
破壊と一口に言ってもいろいろな種類がある。火山や地球深部でのマグマの移動や、封圧の低い場合の岩石内の微小破壊にはtensile(引っ張り)破壊が重要な役割を果たしている。もう一つの破壊のモードである滑り破壊についても、接触面における破壊の様式に数種類あることが示された。実験的研究と同時に、滑り現象をはじめからマクロな現象として、その構成方程式を確立しようとする試みもある。このような研究は破壊現象とカオスを結びつける有力な手段となる可能性がある。
今回の研究会では、理論、室内実験、観測等、さまざまな分野の研究者が一堂に集まることによって、それぞれの分野の研究者が、何に、またどういうところに注目しているのかが明らかになった。これによって、それぞれの分野に研究の新しい芽が生じるものと期待される。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

地震とフラクタル研究会(代表者斎藤正徳),数理地震学(?),統計数理研究所,平成4年3月

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

甘利 俊一

理化学研究所

飯尾 能久

京都大学

伊東 敬祐

神戸大学

尾池 和夫

京都大学

大内 徹

神戸大学

大塚 道男

九州大学

尾形 良彦

統計数理研究所

小川 泰

筑波大学

川崎 一郎

富山大学

川崎 恭治

九州大学

栗田 敬

筑波大学

小山 順二

東北大学

佐藤 春夫

東北大学

佐野 修

山口大学

関本 謙

名古屋大学

鳥海 光弘

東京大学

中村 昭子

京都大学大学院

西山 忠男

九州大学

平田 隆幸

筑波大学

深尾 良夫

名古屋大学

藤原 顕

京都大学

古本 宗充

金沢大学

松下 貢

中央大学

三村 昌泰

東京大学

宮武 隆

東京大学

柳谷 俊

京都大学