平成162004)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

16−共研−2048

専門分類

7

研究課題名

照葉樹林のギャップ動態と樹木更新を抽出できる野外調査法と統計解析

フリガナ

代表者氏名

マナベ  トオル

真鍋 徹

ローマ字

Manabe Tohru

所属機関

北九州市立自然史 歴史博物館

所属部局

自然史課

職  名

学芸員

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

【研究の目的】
 本研究は、ギャップ形成により生じたパッチ(小斑)の客観的な抽出法の開発と、パッチ内にお
ける樹木集団の動態に基礎をおいた極相林の構造・更新特性の把握および評価法の開発を主
目的としたものである。すなわち、様々な発達段階にあるパッチを客観的に抽出し、現地調査に
よって、抽出されたパッチにおける樹木群集の構造特性を詳細に調査する。これらのデータか
ら、パッチの構造特性やパッチ間の諸関係を検出できる統計解析手法を開発し、極相林の維持
機構を解明する。
【研究の成果(経過)】
 長崎県対馬市龍良山山麓部の照葉樹天然林に設置されている4haの長期生態調査地をモデ
ル地として選定し、1966年、1983年、1993年および1998年に撮影された空中写真を用いて林
冠層の変遷状態を把握し、様々な発達段階にあるパッチを客観的に判定したところ,4haという
空間スケールでは、異なる発達段階にあるパッチが存在していること、しかしながら類似した発
達段階にあるパッチが複数個所存在することは極めて稀であることが判明した。
 次に、現地踏査により、発達段階が異なると評価されたパッチが実際に存在していることを確認
し、代表的な植生構造を呈していると考えられるパッチを選定し、本年度は6月にそれらの中の
樹高1.5m以上の全個体の胸高直径および樹高を測定した。そして7-8月にデータ検討会を北
九州及び統数研で行い,その結果を2つに分けて8月の生態学会で報告した。
 一方、赤池のベイズ型情報量基準による平滑化が樹木集団のサイズ構造特性の定量的に評
価に有効である事がわかり,上記野外調査で得られたデータに適用した。これにより、パッチの
発達に伴い、樹木集団の階層構造が形成・発達してゆくことが定量的に評価できた。また、この
現象は、ギャップの形成〜林冠層の閉鎖にともなう光環境の変化に対応した樹高?直径アロメトリ
ーの樹種間差で説明できる可能性が示唆された。なお,樹木の死亡パターン分析に対しても赤
池のベイズ型情報量基準は有効で,その生態学への導入的論文をまとめて3月に国際生態誌
に投稿した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

【論文】
Shimatani,K.,Kawarasaki,S.and Manabe,T.(投稿中)Describing size-dependent
mortality and size distribution by nonparametric models and seelection by Akaike
Bayesian Information Criterion.
ISM Research Memorandum 936 2005/3/3
【学会発表】
真鍋 徹・島谷健一郎・河原崎里子・相川真一・山本進一。異なる林冠動態下にあるパッチ
間での樹木群集の構造と直径?樹高アロメトリー。第51回日本生態学会大会。
河原崎里子・島谷健一郎・真鍋 徹・山本進一。照葉樹林で樹木はどう死んでいるか??
龍良長期モニタリングデータより?。第51回日本生態学会大会。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

河原崎 里子

森林総合研究所

島谷 健一郎

統計数理研究所