平成262014)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

26−共研−2081

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

1

研究課題名

統計学の科学哲学

フリガナ

代表者氏名

シマタニ ケンイチロウ

島谷 健一郎

ローマ字

Shimatani Kenichiro

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

93千円

研究参加者数

11 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

データと統計解析で何を示したら何が科学的に立証されたと言えるか。物理学に代表される原則は、理論値と観察値の一致である。ところが、生物学などでは、理論値と観察値がぴたりと一致するような理論と実験系(またはフィールドデータ)はめったになく、この原則は使いにくい。
実際のところ、統計解析に委ねられた研究では、この価値基準は意外とあいまいで、個人の判断にゆだねられている場面も多く見られる。さらに、「理論の評価はその真偽でなく、相対的なものでしかない」という主張も科学哲学にしばしば見られるようになっており、赤池情報量規準(AIC)はまさにこの実践の先駆けであるが、このAICが、現在、科学哲学の対象となっている。
 そこで本研究では、統計科学系及び科学哲学系の研究者で、統計解析は何を示すことができるのか、並びにモデルの相対評価について、科学哲学の土俵で議論し、統計科学の科学哲学を確立させる始点を作ることを目標に置いた。
 2014年10月、個体群生態学会において生態学と統計科学に関する科学哲学を含む講演を行ったDr. Taperを統数研に招き、本代表者・島谷と分担者・深谷とでセミナー形式の議論を行った。本分担者・松王が抄訳した「科学と証拠」の著者Soberは、AICに対し、予測力でモデルを評価するという道具主義と、真のモデルを仮定するという実在主義の同居という見方を提示するのに対し、Taperらは、より実在主義に近いモデル評価規準を試行している様子が伺えた。
 新たにTaperらの科学哲学も加え、2015年3月、島谷は札幌に赴き、北海道大学において森元・松王並びに院生、学部生なども加えた研究会を行なった。森元によるランダマイゼーションという基本的な統計手法に関する科学哲学も含めた解釈(+学部生への解説)から始め、Soberの本におけるAICへの解釈への欠陥について、松王は科学哲学の立場から、島谷はシミュレーションによる統計手法の観点から、それぞれ(学部生への解説を交えながら)問題点を提起した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

特になし。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

統計科学の科学哲学

3月10日 北海道大学 22名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

井上 裕紀子

国際水産資源研究所

岡田 謙介

専修大学

粕谷 英一

九州大学

岸野 洋久

東京大学

広田 すみれ

東京都市大学

深谷 肇一

統計数理研究所

細 将貴

京都大学

松王 政浩

北海道大学

三中 信宏

独立行政法人 農業環境技術研究所

森元 良太

慶應義塾大学