平成212009)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

21−共研−2051

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

3

研究課題名

新生児の自発運動の解析

フリガナ

代表者氏名

タカヤ リエコ

高谷 理恵子

ローマ字

TAKAYA RIEKO

所属機関

福島大学

所属部局

人間発達文化学類

職  名

准教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

生まれて間もない時期の乳児の動きに,脳神経系の発達過程が反映されているという考え方は,小児神経学の分野から報告されている.その中でもGeneral movements(GMs) は、Prechtlらが、早期および満期産の新生児において、自発運動の中でも頻繁に出現し、区別できる運動パターンを見いだし、命名したものである。この自発運動は外的な刺激に関係なく、内因性に発生してくる運動活動であると考えられており、彼らのグループは、GMsの質の変化が胎児や早期産児の神経学的後遺症の指標になることを報告した。またこのGMsは,出産予定日後6〜8週時点で,その特徴を変化させるという.極低出生体重児における予定日前後のGMsをwrithing GMs、修正2ヵ月時点のGMsをFidgety GMsというが、この診断法における乳児のGM評価は定性的であり,臨床場面で実用的な段階にあるとは言いがたい.本研究では定性的に定義される極低出生体重児のハイリスク乳児における、writhing GMsとFidgety GMs、それぞれのGMsの特徴を明らかにすること,またwrithing GMsとFidgety GMs評価の発達予後予測の信頼性について調べることが本研究の目的である.
我々は,昨年度から引き続き本年度も,長野こども病院などで、ビデオ画像の2次元または3次元画像処理装置を用いて新生児の自発運動を測定してきた。極低出生体重児における予定日前後,および修正2ヵ月時点でのGMsを撮りためるとともに,1歳半,3歳,6歳時点における発達フォローアップデータを蓄積した.我々はこれまでにwrithing GMsの評価と3歳時点での診断と発達検査との関係を分割表であらわし、それを解析してきたが、本年度はさらに,修正2ヶ月時点における独自のFidgety GMs の評価法の開発を試み、3歳時に健診を受診した症例における発達予後との関係を検討した.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文・著書
木原秀樹・廣間武彦・中村友彦 独自の哺乳アセスメントならびに支援チャートを用いての、新生児哺乳障害の評価と支援に関する検討 日本周産期・新生児医学会雑誌, 第45巻4号, 1415〜1423, 2009.
木原秀樹 呼吸理学療法の実際「新生児」 「理学療法MOOK4 呼吸理学療法 第2版」pp349〜359, 三輪出版,2009.
木原秀樹 呼吸理学療法の実際「脳性麻痺」 「理学療法MOOK4 呼吸理学療法 第2版」pp431〜442, 三輪出版,2009.
木原秀樹 呼吸リハビリ 徹底攻略Q&A 上級・実践編 24「新生児・乳幼児呼吸障害」 pp289〜292,中外医学社,2009.
木原秀樹 新しいガイドラインに基づく新生児の呼吸理学療法 周産期医学 第39巻7号 901〜5, 2009.
木原秀樹 呼吸障害「慢性肺疾患により広範囲な無気肺を呈した超低出生体重児に対するNICUの理学療法」「理学療法フィールドノート3 呼吸・循環・代謝疾患」pp86〜99,南江堂,2009.
木原秀樹 Neonatal Care 2009年 秋季増刊号 新生児発達ケア実践マニュアル(DVD付),メディカ出版,2009.
木原秀樹 関節可動制限に対する主な理学療法技術とその評価を考える(EBPTの観点から考える) 実践MOOK・理学療法プラクティス 関節可動制限 pp112〜117,分光堂,2009.
木原秀樹 呼吸理学療法 Neonatal Care 2010年春季増刊「新生児呼吸管理なるほどQ&A」pp245-250,メディカ出版,2010.
木原秀樹・中野尚子 早産・低出生体重児のより良い発達を支援するために ベビーサイエンス, 9号, 2〜14, 2010.
多賀厳太郎:身体運動の発達と非線形力学「よくわかる認知科学」(乾敏郎、吉川左紀子、川口潤 編)ミネルヴァ書房, 30-31, 2010.
高谷理恵子 (2009) 乳幼児期初期の身体制御の発達過程. 東北矯正歯科学会雑誌,17(1), 63-4.
Takaya, R., Fukuda, K., Uehara, H., Kihara, H., Ishihara, K. (2009) Emergence of the circadian sleep-wake rhythm might depend on conception not on birth timing. Sleep and Biological Rhythms, 7, 59-65.
田村正徳・福岡敏雄・宮川哲夫・木原秀樹 NICUにおける呼吸理学療法ガイドライン(第2報) 日本未熟児新生児学会雑誌, 第22巻1号, 139〜49, 2010.
宮川哲夫・木原秀樹 NICUにおける呼吸理学療法ガイドライン 理学療法ジャーナル, 第43巻7号, 627〜34, 2009.

学会発表
木原秀樹・丸山求・宮原真理子・岩岡晴美・中山智恵・佐藤紗弥香: 総合周産期母子医療センター開設以降の長期入院児の動向 第44回日本理学療法学術大会、東京、2009.5.30.
木原秀樹・廣間武彦・中村友彦: 極低出生体重児のDubowitz(新生児神経学)評価と3歳時の発達予後の関係 第45回日本周産期・新生児医学会、名古屋、2009.7.14.
木原秀樹・廣間武彦・中村友彦: 経口哺乳における嚥下造影検査(VF)の有用性について 第54回日本未熟児新生児学会、横浜、2009.12.1.
木原秀樹・廣間武彦・中村友彦: NICU長期入院児の在宅移行プロトコールの導入 第54回日本未熟児新生児学会、横浜、2009.12.1.
G. Taga: Functional brain development in early infancy. Workshop: Development of the social brain, Tokyo, Jan. 23, 2010 (invited)
多賀厳太郎:脳と身体の発達、身体性情報学研究会、東京、2009.5.23(招待講演)
多賀厳太郎:脳科学と学習・発達、第1回応用脳科学シンポジウム, 東京, 2009.9.12(招待講演)
多賀厳太郎:赤ちゃんの謎に迫るー脳科学から、日本心理学会公開シンポジウム、東京、2009.10.25
多賀厳太郎:身体性と発達、認知発達理論研究会、東京、2009.12.12(招待講演)
多賀厳太郎:赤ちゃんの謎に迫るー脳科学から、日本心理学会公開シンポジウム、仙台、2010.1.31(招待講演)
高谷理恵子: 乳児期初期の身体制御の発達過程, 第25回東北矯正歯科学会大会のシンポジウム「機能の制御と認知」, 郡山,2009.6.20
高谷理恵子: 乳児の自発運動と発達予後〜低出生体重児の発達過程から考える〜, 第9回宮城県新生児カンファラン, 仙台, 2009.12.05
中野尚子: 超・極低出生体重児におけるfidgety movements(GMs) 評価と3歳時の発達予後の関係, 行動発達研究会, 東京, 2009.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

GMs ビデオ記録検討および討論・2009年10月10日・統計数理研究所・5名
GMs ビデオ記録検討および討論・2009年12月26日・統計数理研究所・4名
GMs ビデオ記録検討および討論・2009年2月13日・統計数理研究所・4名
GMs ビデオ記録検討および討論・2010年3月6日・統計数理研究所・5名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

木原秀樹

長野県立こども病院

小西行郎

同志社大学

多賀厳太郎

東京大学

中野 純司

統計数理研究所

中野尚子

東京女子医科大学大学院研究科