平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−44

専門分類

5

研究課題名

非晶質合金の原子構造の統計的研究

フリガナ

代表者氏名

サトウ ヒロカズ

佐藤 洋一

ローマ字

所属機関

愛知教育大学

所属部局

教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

非晶質合金の様々な特性が実験的・理論的に研究されている段階にあります。今回の研究目的は〓と〓などの非晶質合金の原子構造を理論的に研究することです。非晶質合金を計算機シュミレーションで作成し,得られた原子配列のデータをVoronoi多面体分割手法を利用し,原子の配列や原子の大きさの統計的分布を求める。原子構造の検証は,間接的ではあるが,熱電能や電気伝導の測定値と比較することによっておこなう。


非晶質合金の原子構造の統計的解明,およびその理論のモデルの現実的側面からの検証となる電気抵抗の値を求めることとした。
(1)非晶質合金の対象として,実験的研究も一定程度積み重ねがある〓,〓および3元系として〓合金を選んだ。これまでの共同研究の積み重ねに基づき,各合金中での原子と原子との間の有効ポテンシャルを擬ポテンシャル論に従って求めた。これらのポテンシャルを利用して,非晶質状態の原子配列を計算機シュミレーションで行うわけであるが,今年はプログラムの改良を行い,原子数の多い(実際には8000個で実行)場合に,できるだけ計算時間を短縮できるものとした。
シュミレーションして得られた原子集団の座標を動径分布関数や構造因子で分析したが,今年はあらたにVoronoi多面体法を開発することができた。この方法は我々が初めてではないが,独自にプログラム作成したものである。原子集団の座標をVoronoi多面体に分割することにより,その多面体の体積や面数などを統計的に調べるため,度数分布を作成するものである。〓合金系などで分析したが,現在論文にまとめているところである。
(2)〓基合金の電気抵抗について
非晶質合金の範中に近い,結晶の微細化による原子構造とその電気抵抗の特性の研究を行った。
面心立方格子の構造をもつCu結晶に不純物としてZn,Ga,Geを統計的にランダムにCuと置換するように入れ,微結化を行っていったとき,連続的に結晶から非晶質に移行するかどうか,実験的研究も合せて行った。理論的モデルとしては,微結晶は相互に相間はなく,その境界間の原子構造はないという仮定で原子集団を扱ったものとした。
結果は,電気抵抗の特徴(実験)を半定量的にとらえることができ,その結果は’89年夏の国際会議,’90年春の金属学会で発表した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.International Conference on Liquid and Amorpnous Metal(京都,1989.9・4−8)
2.日本金属学会(東工大,1990.4・5)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

4月に,本研究について打合せと,統計的方法の研究をおこなう。
7〜9月にかけ,非晶質合金での原子構造に関する統計的分布(Voronoi多面体を利用)の研究を行なう。このためには,統計学の深い知見と本研究に関連した分野の研究経験を持つ貴研究所のスタッフとの交流を必要とします。さらに,金属中での原子間ポテンシャル(計算済)を利用へ,8〜12月にかけ,電子計算機を利用して,動力学的方法により原子間力の緩和により原子集団のシュミレーションをおこなう。このシュミレーションは統計的意味を持つように原子数は数4個以上を必要とします。かなり大がかりになるため貴研究所の大型計算機を使用させていただければ可能となるものです。1〜3月には,本研究の整理とまとめをおこなう。統計学的考察をも含めた研究内容であるため,有効な議論が期待できる貴研究所を利用させていただく必要があります。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

馬場 康維

統計数理研究所