平成21（2009）年度　一般研究２実施報告書

 

課題番号

21−共研−2019

分野分類

統計数理研究所内分野分類

b

主要研究分野分類

4

研究課題名

マルコフ連鎖モンテカルロ法による機能的力学系の設計

フリガナ

代表者氏名

ヤナギタ　タツオ

柳田　達雄

ローマ字

Tatsuo Yanagita

所属機関

北海道大学

所属部局

電子科学研究所

職　　名

助教

配分経費

研究費

0千円

旅　費

0千円

研究参加者数

4　人

 

 

研究目的と成果（経過）の概要

目的
　マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)は，物理学ではカノニカル分布のサンプリングに，統計学では事後分布からのサンプリングに，それぞれ広く用いられているが，確率分布で定式化できる任意の現象について適用できる手法であり，今後もその用途は拡大していくと思われる．なかでも，初期値や確率的状態変化のパターンを変数としてサンプルすることで，与えられたシステムを特徴づけるような「珍しい現象」(rare event)を実現することが「第３の用途」として注目されている．
　本共同研究ではこれらの成果を発展させ，決定論的力学系のパラメータをサンプリングし，与えられた条件を満たす性質を持つ力学系の設計を試みる．力学系の設計には無限の自由度があるので，自律力学系がネットワーク結合しているモデル群を考え，与えられた機能を満たすネットワーク構造をMCMCによるサンプリングを行う．これにより，与えられた現象が安定に起こるような「珍しい力学系」を系統的に見出し，得られたモデル群が持つネットワーク構造や力学的特徴の普遍性について探求した．

成果
1. 研究成果を学会，及び国際会議で発表した．また論文をPhysical Review E．誌に投稿中である．
2. MCMCによるパラメータ探索を発展させ，与えられた機能を満たす大自由度力学系の結合ネットワークの設計を試みた．具体的は同期特性の優れた結合振動子のネットワークを設計し，そのネットワークの統計的性質を解析し，国際会議等で発表した．

 

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

論文
1. T. Yanagita and A. S. Mikhailov, “Design of Easily Synchronizable Oscillator Networks Using the Monte Carlo Optimization Method”, submitted to Physical Review E (2010)

学会発表
1. 柳田 達雄、ミハイロフ アレキサンダー : 「マルコフ連鎖モンテカルロ法による位相振動子網の設計と解析」、日本物理学会 第64回年次大会、岡山大学 (2010-03 〜 2010-11)
2. A. Kitajima, M. Kikuchi and Y. Iba : “Search for Rare Trajectories in Chaos by Multicanonical Monte Carlo”, Conference on Computational Physics 2009, Grand Hi-Lai Hotel, Kaohsiung, Taiwan (2009-12)
3. 柳田 達雄 : 「結合振動子網の設計とその統計的性質」、電子情報通信学会 非線形問題研究会 、（11月11日開催，会場：屋久島環境文化村センター） (2009-11)
4. T. Yanagita : “Statistical Properties of Synchrony Designed Network”, Frontiers in network science - advances and applications, Harnack-House, Berlin, Germany (2009-09)
5. T. Yanagita : “Statistical Properties of Synchrony Designed Network”, Dynamics Days Europe 2009, Max Planck Institute for Dynamics and Self-Organization, Gottingen, Germany (2009-08 〜 2009-09)
6. 北島顕正：「拡張アンサンブル法を用いた Coupled Standard map の研究」, 力学系研究集会「双曲型力学系か ら大自由度力学系へ」, 京都大学, (2009-8)
7. 柳田 達雄 : 「動的モンテカルロ法による力学システムの稀な軌道の探索と設計」、アライアンスＧ３分科会、ラフォーレ蔵王 (2009-06)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊庭　幸人

統計数理研究所

菊池　誠

大阪大学

北島　顕正

大阪大学