平成192007)年度 若手短期集中型研究実施報告書

 

課題番号

19−共研−3002

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

生物の個体群動態の数理モデルと統計解析

フリガナ

代表者氏名

ナカギリ ナリユキ

中桐 斉之

ローマ字

Nakagiri Nariyuki

所属機関

兵庫県立大学

所属部局

環境人間学部環境人間学科

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

80千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は、生物の個体群動態における統計解析によって、生物進化の理論的研究や生物群集における共存安定問題を明らかにすることである。

今年度は、生態系の数理モデリングと格子モデルによるシミュレーションを用いて、生態学の絶滅問題および生物多様性の問題を研究してきた。

1)草原群落の種多様性を決定する共存安定問題の研究
自然では非常に多くの種が共存して群集や群落を構成し、数多くの競争種の共存が観察される。ところが、理論や実験からは、同一生態系での競争種の共存(局所的な共存)が非常に難しい。そこで、草原群落や植物プランクトンを対象として、実際に多種共存している群集の種間関係・ダイナミクスからモデリングを行ってきた。
本研究では、空間占有を含めたモデルを構築し、非常に難しいとされる多種の共存について解析した。そこで、3種類のモデル生物が存在する草地群落モデルを用い、相互作用のあり方がどのように局所共存に影響を及ぼすのかを検証した。

2)生物の個体群動態の研究
 格子ロトカ・ボルテラ模型を使って、生息地破壊による個体群動態への影響を研究した。生息地破壊の効果について、モデル生態系を用いて解析を行った。餌-捕食者の2種系に、生息地破壊の影響を与えていくとき、生息地が破壊されるときの面積による影響と、生息地が分断化する影響、そしてその二つの相乗効果の3種類の影響を考えたモデルを構築した。このモデルについてシミュレーションによる解析を行ったところ、分断化の影響が重要であることがわかった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Hiroyasu Nagata*, Kei-ichi Tainaka*, Nariyuki Nakagiri and Jin Yoshimura,
Perturbation Experiments in Lattice Ecosystems: Fluctuation Enhancement in Top-Predator Conservation
2nd International Workshop on Natural Computing, Nagoya, Japan, 2007年12月


山口裕矢、中桐斉之、吉村仁、泰中啓一、富樫達也、宮崎龍雄,
草原群落における多様性について,
第9回日本進化学会大会, 京都市, 2007年8月


中桐斉之、山口裕矢、吉村仁、泰中啓一,
草原群落における種多様性:3種系格子モデルによる解析,
第4回生物数学の理論とその応用, 京都市, 2007年10月


田中裕美、中桐斉之、泰中啓一、吉村仁,
アユの縄張り形成・崩壊の履歴効果,
日本生態学会第55回大会, 福岡市, 2008年3月


向坂幸雄、吉村仁、中桐斉之、富樫辰也、宮崎龍雄、泰中啓一,
局所的資源制約は多種共存を促進する,
日本生態学会第55回大会, 福岡市, 2008年3月


中桐斉之、泰中啓一、吉村仁,
生息地破壊による絶滅:面積か分断化か,
日本生態学会第55回大会, 福岡市, 2008年3月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

南 美穂子

統計数理研究所

吉村 仁

静岡大学