平成262014)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

26−共研−2067

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

2

研究課題名

欠番のあるEulerian分布とその応用

フリガナ

代表者氏名

ツチヤ タカヒロ

土屋 高宏

ローマ字

Tsuchiya Takahiro

所属機関

城西大学

所属部局

理学部数学科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

42千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

[研究目的]
 バケットソートの変形版を基礎とする研究である.バケットソートは並べ替えるデータの取りうる値がk通りのとき,あらかじめk個の入れ物を用意するか,あるいは動的にそれを増やしながら,各々の数字に対応した入れ物にデータを入れていくアルゴリズムである.本研究の発端は,n個の連続した数字(カード)があり,あらかじめ用意する入れ物の数を決めず,最終的に必要な入れ物の数がデータの初期状態に依存する変形バケットソートを考案し,その入れ物の数を表す漸化式と離散確率分布を導出したことにある.
以上を背景に,変形バケットソートを一般に拡張したときの理論を研究する.
(1) カードに複数枚の欠番がある場合の入れ物数の離散確率分布(欠番のあるEulerian分布)を導出する.
(2) Eulerian分布は連続一様分布にしたがう確率変数の和の分布と関連し,漸近的に正規分布に収束する.欠番のあるEulerian分布は非対称な離散確率分布になることがわかっている.この確率分布の統計的・代数的性質について研究する.

[成果]
 上記研究課題(1)については,1からnまでの数字が書かれたn枚のカードのうちm枚 (1≦m≦n) 欠番がある状況を考え,どの番号も等確率で欠番が生じるという仮定の下で,カードの入れ物数が i (1≦i≦n-m) となる確率分布を漸化式の形で導出した.さらに,確率分布の期待値も導出した.m=1の場合については,下記のワークショップおよび論文において報告した.また,(2)と関連する研究成果として,Eulerian分布による正規分布の近似精度が良いことを利用して,高速な正規乱数を生成するアルゴリズムを提案した.提案手法の有効性を様々なデータ数とビン数の設定の下で,いくつかの正規性の検定により検証するとともに,従来の正規乱数生成方法と比較して,提案手法における乱数生成時間の優位性を示した.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[1] ソーティング過程に現れる離散確率分布とその精密化 (2014),土屋高宏,中村永友,2014年度 統計関連学会連合大会,東京大学.
[2] Eulerian distribution with a missing number (2014),Takahiro Tsuchiya, Annual Workshop on Statistical Science and Related Topics. Josai University.
[3] Pseudo-Normal Random Number Generation via the Eulerian Numbers (2014), Nagatomo Nakamura,Annual Workshop on Statistical Science and Related Topics. Josai University.
[4] Eulerian distribution with a missing number (2015),Takahiro Tsuchiya, Josai Mathematical Monographs 8, 73-83.
[5] Pseudo-Normal Random Number Generation via the Eulerian Numbers (2015), Nagatomo Nakamura,Josai Mathematical Monographs 8, 85-95.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 研究共同者との研究打合せは実施したが,研究会は開催していない.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

川崎 能典

統計数理研究所

中村 永友

札幌学院大学