平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−85

専門分類

7

研究課題名

疫学的研究における食物摂取状況の定量的把握方法に関する研究

フリガナ

代表者氏名

マツムラ ヤスヒロ

松村 康弘

ローマ字

所属機関

厚生省国立健康・栄養研究所

所属部局

成人健康・栄養部

職  名

室長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

予防医学的観点から、ライフスタイルと健康に関する疫学的研究が種々進展しており、ライフスタイルの中でも食生活の重要性が指摘されている。しかし、コホート研究において食物摂取状況を定量的に把握している研究はまれである。本研究では、特定地域における住民の食物摂取状況を定量的かつ簡便に把握し、疫学的研究に対して有用となる方法の開発及び当該方法を用いるためのコンピュータ・プログラム・システムの開発を目的とする。


わが国において、これまで実施されたコホート研究では、食事調査の妥当性を検討していない研究が多い。コホート研究が、国際的な評価に耐えうる研究水準を保ち、調査結果を正しく読みとるには、「頻度法」に加えて「記録法」による食事調査、すなわち、妥当性研究を行う必要がある。
そこで、ある保健所管内の健康な男女30組を対象として妥当性研究を行っている。年4回の食事記録をgold standardとして、その前後に実施するFFQによる栄養素、エネルギー摂取量を比較検討する。また、摂取量を比較的反映しやすい血中カロテノイド類を食事記録時に測定して、これもstandardの一つとしてFFQ、食事記録との相互関連を検討している。
調査は現在進行中であり、本報告では、データが得られている3回の血中カロテノイド、トコフェロール、レチノールの季節間差について検討した。月別には、ルテインは5月から8月にかけて有意に低下していた。8月と11月には差はみられなかった。リコペンとβカロテンは5月から8月にかけて有意に低下し、8月から11月にかけて有意に上昇し、11月は5月のレベルにもどっていた。αカロテンとレチノールは5月から8月にかけては変化は認められず、8月から11月にかけて有意に上昇していた。トコフェロールは5月から8月、8月から11月と有意に低下していた。
今後、食事記録調査とのつきあわせを行い、これらの季節による変化が食事のどのような成分に起因するかを検討する。また、南勢町の住民約2100人に対して、上記FFQをmodifyした調査票を用いて食事調査を行った。現在、それらの結果の入力を終え、解析を進める段階にある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Yasuhiro Matsumura,Toshiya Sato,Hirofumi Takagi,et al.:The Nansei-cho Cohort Study;I.Design
and Objectives.The 14th Scientific Meeting of International Epidemiological Association,1996.8.28
Hitoshi Kakimoto,Yasuhiro Matsumura,Toshiya Sato,Hirofumi Takagi et al.:The Nansei-cho Cohort
Study;II.Baseline Data.The 14th Scientific Meeting of International Epidemiological
Association,1996.8.28
Yutaka Yoshitake,Yasuhiro Matsumura,et al.:Relationship between Motor Abilities and Functional
Performances in Older People.Fourth International Congress of Physical Activity,Aging and Sports,
1996.8.28
Yutaka Yoshitake,Yasuhiro Matsumura,et al.:Relationship between Physical Fitness and Functional
Performances in Older Women.Third International Congress on Physiological Anthropology,1996.9.26

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

食物摂取状況を定量的に把握する方法としては、食物秤量法、想い出し法などがあるが、これらの方法には調査者間の偏り、多大な費用、被調査者に対する多大な負担などの理由から、多人数を対象とする疫学的調査には適用できない欠点がある。したがって、多人数を対象としたコホート研究等においては、食物摂取状況を定量的に把握した調査はまれである。本研究は、三重県度会郡南勢町在住の健常者を対象としたコホート研究において、コホートの内から無作為に抽出した人達の食物摂取調査を1週間にわたって行い、その集計を終え、その結果をもとにして、簡便で、かつ定量的把握が可能な調査票の開発を行っている。これと並行して、現在全国的に使用するための食物摂取頻度調査票を考案しているが、それが本地域対象にも適応可能かどうかの検討を行う。そのためには、近年の生物統計学の知見が必要とされ、統計数理研究所との共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐藤 俊哉

統計数理研究所

高木 廣文

統計数理研究所