平成122000)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

12−共研−1022

専門分類

8

研究課題名

経済成長率に対する教育投資効果の統計解析

フリガナ

代表者氏名

カワサキ ヨシノリ

川崎 能典

ローマ字

Kawasaki Yoshinori

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助手

所在地

TEL

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E-mail

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研究目的と成果(経過)の概要

昨年度は経済成長モデルに基づいた生産関数を推定する際、教育投資の生産力効果を計測するために、公
共投資の一部門である文教資本ストックのデータを用いて推定をおこなった。また比較のために先行研究
で教育投資や人的資本の代理変数として使用されてきたデータも用いて分析した。分析対象は47都道府県
で、クロスセクション分析である。結果は、先行研究と同様の代理変数を用いた場合は、経済成長(GDP)
に対する教育(人的資本)の効果が明示的には観察することができないという従来の実証結果を支持する
ものとなった。しかし、Benhabib and Spiegel(1994)のモデルで、文教資本のデータを使用するとパラメー
タは有意に正値となり経済成長に貢献しているという結果が得られた。人的資本を生産要素として含む生
産関数のモデルを推定する際、代理変数(proxy variable)の選択に関する問題がある。そのため
Temple(1998,1999)を主に参考にし、より頑健な推定を行った。さらに文教資本ストックは公共投資の一部
であるため、公共投資全体の生産力効果についても分析をおこなった。当初はクロスセクション分析をお
こなっていたが、推定値の精度を上げるために、横断面方向のデータ(46都道府県)と時系列データ(1975
年〜1997年)をプールして推定をおこなった。わが国の場合社会資本(公共投資)を含んだ生産関数の推
定においても、その経済成長に対する効果が時系列やクロスセクション分析では実証的に明らかになるこ
とが難しく、データをプールすることによって社会資本の生産力が観察されるという見解がある。本分析
では、都道府県別でも、都道府県を12地域に分類して推定した場合でも社会資本のパラメータは有意に正
値となり同様の結果が得られた。さらに公共経済学の理論に基づいた社会資本のファーストベストを求
め、わが国の教育投資を含む公共投資の地域配分の現状を考察した。結果は、近年都市部においては社会
資本の限界生産力が高く、また社会資本は民間資本と比較して相対的に不足しており、都市部に重点的に
公共投資を行うことが効率という観点から考えると望ましいという先行研究と妥当な結果となった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

小西葉子「わが国の地域経済成長への人的資本の影響」(mimeo)
小西葉子「人的資本を含む生産関数の頑健推定」(mimeo)
小西葉子「都道府県データを用いた地域別生産関数の推定」(mimeo)
小西葉子「都道府県データを用いた地域別生産関数の推定と社会資本の配分の現状」,『首都機能移転の
効果に対する調査』,岐阜・愛知新首都推進協議会・株式会社東海総合研究所,(in press)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小西 葉子

名古屋大学大学院

根本 二郎

名古屋大学