平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−25

専門分類

3

研究課題名

時系列解析支援システムの試作

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計計算開発センター

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

時系列解析はその理論の発展と計算機の進歩によって、すでに多くの分野で利用されている。しかし、数学的に少し高度である上、手法の適用にあたっては教科書に書かれていないような技術的な注意が必要であるため、最初から適用をためらったり、不適切に利用されたりしていることも多いようである。そこで本研究所では知識工学の技術を用いて、初心者に対する基本的な手法の使い方に関する示唆や不適切な利用を指摘できるような解析支援システムを試作したい。


当初の本年度の目的は時系列解析の知識を表現するオブジェクト体系の設計を行うことであった。そのために、統計数理研究所で開発された TIMSAC パッケージ、特に MS-Windows 版 TIMSAC72 における解析の検討を行った。このシステムではオブジェクト指向をめざしたわけではないが、各プログラムの入力・出力がひとつのデータに関するオブジェクトのようになっている。ただ、それが形式的にあまりうまく利用されておらず、いくつかの改良を行えばもっと使いやすくなると思われた。
そこでそれを実現してみることにした。そのような実験を容易に行えるようにするためと多くの研究者に利用しやすくするために、このシステムをワークステーションの標準オペレーティングシステムである UNIX 上に移植するという方針をとる。また、最近の統計パッケージを見ると(MS-Windows 版 TIMSAC72 もそうであるが)GUI (Graphical User Interface) の利用を避けて通ることはできないようであるので、これに関しても MS-Windows 版 TIMSAC72 を参考にして実装する。
実装に際しては配布・移植・変更が容易になるように多くのフリーウエアを利用した。すなわち、GNU G++, Tcl/Tk, Gnuplot などを用いた。また、分かり易い既定値を設定することにより、使いやすいシステムにできたと思っている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

山本・中野・田村、UNIX 版 TIMSAC72、統計数理(投稿予定)

山本・中野・田村、MS-WIndows 版 TIMSAC72 の UNIX への移植、日本統計学会、1995年7月(発表予定)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究代表者らはすでに重回帰分析についての解析支援システムを作成し、現在も改良を続けている。そこではオブジェクト指向の考え方を用いてシステムを設計した。時系列解析についてもこの考え方は有効であると思われるので、まず、時系列解析の知識を表現するオブジェクトの設計を行う。時系列解析の知識を整理したものとしてはBox-Jenkins法と統計数理研究所で開発されたTIMSACパッケージがある。ここでは両者を参考にしてオブジェクト体系を設計したい。
なお、TIMSACパッケージは現在も改良が行われているので、その成果を取り入れるために共同研究の必要がある。オブジェクト指向で作られているシステムとしてはS(SPlus)があるが、我々はこのシステムを参考にしながら、独自にシステムを作成したい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

生駒 哲一

広島市立大学

小林 郁典

徳島文理大学

神保 雅一

岐阜大学

田村 義保

統計数理研究所

西尾 敦

明治学院大学

山本 由和

徳島文理大学